田中将大と”ダブルエース”形成か? ヤンキースがFA市場最大の目玉の投手獲得に動く

シャーザー獲得で「別のナンバーワン投手を手にすることができる」

「キャッシュは内部昇格でロースターを構成したいと考えているようだが、彼らが来年勝つためには、先発ローテーションの上位を任せられるピッチャーが必要だ。彼らの打撃陣は優秀ではないが、シャーザーを獲得できれば、投手陣で勝つことができるチャンスが生まれる」

 ピンストライプの名門が3年ぶりのプレーオフ進出のためにタイガースからFAとなったシャーザー獲得に乗り出す可能性をこう指摘している。

 シャーザーは今季、リーグトップタイの18勝(5敗)を挙げ、2年連続でリーグ最多勝投手となった。防御率は3.15。6年連続で30試合以上に登板しているリーグ屈指のパワーピッチャーだ。

 タイガースは今年3月に6年総額1億4400万ドル(約170億円)の契約延長オファーを出したが、シャーザーがこれを固辞した経緯がある。辣腕で鳴らすスコット・ボラス代理人と契約しているシャーザーの獲得資金は、タイガースが提示した条件を大幅に超える可能性が高い。獲得すれば、ヤンキースは来季、再びぜいたく税のリミットをオーバーすることを意味する。

 前出の球団幹部は「肘がどこまで持つかわからないタナカが来年、先発ローテーションの一番手でシーズンを戦うと人々は思うだろうか? シャーザーを獲得すれば、別のナンバーワン投手を手にすることができる。もしも、タナカとピネダに(故障離脱のない)幸運が訪れれば、彼らはボルティモア、トロント、ボストンに投げ勝つことができる」と指摘しているという。

 7月に負った右肘靭帯部分断裂のリハビリを乗り越えた田中は今季、20試合に先発して13勝5敗、防御率2.77という素晴らしい成績を残した。だが、キャッシュマンGMも靭帯負傷が再発する危険性を常々口にしている。

 今年、松ヤニを使った不正投球問題で出場停止処分を受けた右腕ピネダは、5勝5敗ながら防御率1・81という好成績を残したものの、故障続きで13試合の登板にとどまった。そして、ヤンキースでシーズンを通して1人だけ先発ローテーションを守り抜いた黒田博樹投手はFAとなり、去就未定となっている。

 ヤンキースがシャーザーを獲得できれば、実績で上回るため1番手とはなるものの、2番手の田中と”ダブルエース”という形になり、本来は大黒柱のCC・サバシア投手、ピネダ、右肘靭帯再建手術(トミー・ジョン手術)から開幕後に復帰予定のイバン・ノバらが名を連ねる先発ローテーションは強化される。強打を武器に、今季はヤンキースと12ゲーム差をつける独走で優勝したオリオールズ、打者の補強を続けているブルージェイズ、レッドソックスにも投手戦で対抗することが可能になると記事では指摘されている。

 記事では「(シャーザー獲得が)実現した場合、信じられないようなお金を犠牲にすることになる。だが、資金力こそがヤンキースの持つ最大の資産なのである」と指摘している。出費はヤンキースのDNA。なりふり構わぬ出費以外に、ニューヨークの名門を再建する術はないと地元メディアは見ている。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY