中継ぎとしては異例の大型契約が誕生 メジャーで高まるリリーフ投手の価値

中継ぎ投手に扉を開いたミラーの契約

 最終的にヤンキースと獲得を争ったアストロズは4年4000万ドル(約48億円)の条件を提示していたという報道もあり、多数球団による値段のつり上げ合いが、メジャー通算1セーブ(セーブ機会は3度)の29歳が年俸900万ドルという大型契約に至った真相のようだ。こう考えると、早々に上原と2年1800万ドル(約21億6000万円)で再契約したレッドソックスは、正しい選択をしたと言えるのかもしれない。

 もちろん、ミラーの契約には「近い将来クローザーを任せたい」という期待値も多分に含まれているだろうが、先発投手と比較すると評価されづらいセットアッパーをはじめとする中継ぎ陣に大きな扉を開いた形となった。

 これまで守護神を務めたことがない中継ぎ投手で最も長い契約と言われていたのが、スコット・ラインブリンクが2008年にホワイトソックスと結んだ4年1900万ドル(約22億8000万円)だった。オプションを含まずに4年が保証され、クローザーの契約に匹敵する3600万ドルが用意されたことは大きな意味を持つ。

 ミラーの契約がまとまったことで、より注目を集めることになったロバートソンは、ホワイトソックスと4年4600万ドル(約55億2000万円)で契約合意と報じられている。クローザーとしての経験を持つロバートソンの方が、年俸にして250万ドル(約3億円)高い契約をむすぶことになったのも、ミラーの契約が“叩き台”となった可能性は高い。この2人の契約が基準となった今、他のリリーバーたちがどんな契約を勝ち取るのか興味深いところだ。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。

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