黒田博樹が米国で残した足跡 メジャーで刻んだ2つの「日本人初」

連続2桁勝利、連続200イニング登板 高い評価を受ける2つの「日本人初」

 2013年には、8月中旬に一時は防御率リーグトップに立つなど、サバシアが不調の中でエース級の働きを見せた。最後は6連敗と大きく崩れてしまったものの、11勝13敗、防御率3.31でフィニッシュ。オフに入ると、ヤンキースはすぐに再契約に動いた。

 4年連続2桁勝利は野茂英雄もなし得なかった日本人初の快挙。さらに、ドジャース時代の2011年は202回、ヤンキース1年目の2012年は219回2/3だった投球回数は、この年も201回1/3まで積み上げた。メジャーで先発投手の評価基準の1つとして重視されており、黒田も毎年目標に掲げる200投球回に3年連続で到達。これも日本人初の快挙だった。

 そして2014年は7月25日のブルージェイズ戦で、野茂以来となるメジャー200先発を達成。さらに、けが人続出のヤンキースで1人だけ先発ローテーションを守り続け、8月28日には野茂以来となる5年連続での規定投球回到達も成し遂げた。

 序盤は珍しく不安定な投球もあったが、13年は不調だった後半戦に抜群の安定感を見せ、11勝9敗、防御率3.71でシーズンを終了。自身の日本人記録をさらに伸ばす、5年連続2桁勝利を達成した。投球回数は199回で、200回には1イニングだけ届かなかった。

 黒田と同じ2008年にメジャーデビューを飾り、今オフにタイガースからFAとなったマックス・シャーザーは、7年間で198試合に先発し、91勝50敗、防御率3.58。一方で、黒田はシャーザーよりも多い211試合に先発して防御率3.45ながら、79勝79敗となっている。

 黒田にもシャーザーと同じように“正当”な打線の援護があれば、勝敗数は大きく変わっていた可能性が高い。しかも、投球回はシャーザーの1239回1/3に対して、黒田は1319回と“圧勝”している。13年にサイ・ヤング賞に輝き、今オフはFA市場の目玉として2億ドル(約244億円)の契約を狙っているともされているメジャー屈指の右腕と比較しても遜色ないどころか、それを上回るような投球を黒田はメジャーで続けていたことになる。

 米国でも改めて見直されている黒田の輝かしいキャリア。確かな足跡を残し、ベテラン右腕はメジャーを去る。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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