米国で現役続行か、日本復帰か それぞれの決断
渡米後、最後まで米国でプレーし続けた松井氏
松坂は先発投手として生きてきた。これまでも、そしてこれからも、そのつもりでいる。米国でのオファーを待ち続けても、メジャーの先発が確約されるわけではない。「先発への思いを捨てきれなかった」という右腕はフラットに先発できるチームを求めた。
もう1つ持っていた信念は現役の最後は日本でプレーすることだった。黒田のように公言はしていないが、日本への恩返しの思いや、NPBを盛り上げたいという気持ちがあった。通用しないから、挑戦をあきらめたわけではない。それは松坂の会見の言葉だけでなく、新シーズンの結果が証明してくれるだろう。黒田も松坂も、日本に戻るという思いを心の片隅に持ち続けていた。
振り返れば、ヤンキース、エンゼルス、アスレチックス、レイズでプレーし、メジャーで現役を終えた松井秀喜氏にも信念があった。巨人から米国に渡る時に「何を言っても裏切り者になるかもしれない」「もう2度と戻ってくることはできない」と覚悟を決めて、FA移籍をしている。松井氏の中には日本復帰の選択肢はなかった。仮の話で、もし渡米前の成績を戻ってきて残せるなら、日本に復帰していた可能性もあったことを明かしたことはあったが、実際には難しかった。松井氏も最後まで信念を貫いた。
黒田が広島を離れている間、カープは優勝をしていない。優勝をしないで渡米することは右腕にとっては心残りだった。松坂も以前から注目し、3年の複数年という誠意を示してくれたソフトバンクのために、全力を注いでいく覚悟だ。日本への思いを常に持ち続けてきた両投手が新たなステージでどのような活躍を見せてくれるのか。2015年のプロ野球は見どころ満載だ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count