黒田博樹の引き際の美学 Mr.オクトーバーの言葉にも耳を傾けた右腕

レジー・ジャクソンからも助言を受けていた黒田

 ヤンキースからフリーエージェント(FA)となり、広島復帰を決めた黒田博樹投手は、今オフも現役引退を選択肢の1つに入れていた。昨年9月28日のシーズン最終戦(レッドソックス戦)の日には「オファーがあっても自分なりに色々と考えないといけないこともありますし、それ(現役続行の決断)は去年以上に、というか例年以上に難しい……というか年齢が行けば行くほど難しくなってくるんじゃないかなと思います」と悩ましい胸の内を明かしている。

 結果的に、今年2月に40歳を迎える右腕は現役続行を決断した。しかも、年俸21億円を超えるメジャー球団からのオファーを断り、4億円プラス出来高(推定)を提示した古巣の広島で。

 ただ、引き際に対する考え方は変わらないだろう。

「特にこっち(米国)に来てからは『いつが最後の日になっても、最後の年になっても』という心の準備と、それだけの覚悟でマウンドに上がらなきゃいけないという気持ちは変わらない」

 昨年のキャンプ中、黒田は野球に対する自身のスタンスについて、こう説明している。

 1試合にかける想いが誰よりも強いからこそ、毎年、現役引退と真剣に向き合う。昨オフにヤンキースと再契約する前にも、葛藤があったという。「いろんな人に話を聞かせてもらったし、(引退という)決断はどういうタイミングでどういう時にするのか、僕でも分からない」とも話している。

 キャンプ地のフロリダ州タンパでは、実際に“レジェンド”の話に耳を傾ける黒田の姿も見られた。ヤンキースのクラブハウスで、特別アドバイザーとしてキャンプに参加していたOBのレジー・ジャクソン氏が右腕の元に歩み寄り、通訳を介して語りかけた。話し合いは、20~30分も続いた。

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