ヤクルトの作戦勝ち? 内野手の有望株獲得は「狙い通り」

情報戦の末に狙い通りの補強を成功させたヤクルト

 ヤクルトが欲しかった若手内野手を巨人からのFA人的補償で獲得することができた。投手か外野手か、情報戦の中で選ばれたのは内野手の有望株だった。19歳の奥村展征。球団関係者は「狙い通りだった」と話す。それは強がりでも何でもない。

 ヤクルトは昨年のドラフトで内野手獲得を目指したが、意中の選手が取れていなかった。そのため、山田らとともに次世代を担う内野手を巨人から獲得する方針があったという。若手の内野手を取るためにヤクルトは水面下で“作戦”を仕掛けていたようだ。

 早い段階で真中新監督が「外野手をほしい」と公言。また、ヤクルトは投手がリーグワーストの防御率だったため、投手を獲得するという見方も強かった。このため、ヤクルトの狙いは外野手、もしくは投手という見方が強まった。

 さらに、実は巨人を戦力外になった捕手・井野の獲得も、今回の人的補償の獲得劇に巧妙にかかわっていたようだ。

 ヤクルトが28人のプロテクトリストを受け取ったのは昨年の12月中旬。その後、同22日に水面下で進めていた井野の獲得を発表した。もし巨人が28人のプロテクトリストを提出する前にヤクルトが井野を獲得すると知っていたら、人的補償で捕手を取る可能性は低いと見たはずだ。

 しかし、井野の獲得はプロテクト提出後に発表された。関係者によると、ヤクルト側が意図的に公表を遅らせたのだという。つまり、捕手の補強を知られたくなかったのである。そのため巨人は捕手の加藤と實松のどちらか、もしくは両者をプロテクトせざるを得なくなり、1枠以上を使った可能性はある。

 これら一連の流れがなくても巨人が2年目の内野手をプロテクトする余裕がなかった可能性も考えられるが、結果としてヤクルトはポスト宮本として取りたかった奥村の獲得に成功した。外野手か投手か、捕手か……。約3か月間の情報戦の末、ヤクルトは勝利を収めたといっていいのではないだろうか。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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