最後の世界一から107年目 名将&エース左腕を迎えたカブスは躍進なるか

長期にわたって勝てるチームへと変貌する可能性を秘めるカブス

 さて、冒頭の質問に話しを戻そう。

「今年は優勝できるのか?」

 正直なところ、ワールドシリーズ優勝は難しいだろう。がしかし、ナ・リーグ中地区での優勝は十分にあり得ると思う。

 常勝カージナルスや近年底力をつけたパイレーツなど油断できないライバルは多いが、それに対抗できるだけの戦力はある。最近2シーズンは地区最下位に沈んでいたが、その定位置を脱することは間違いない。それでもワールドシリーズ優勝は難しいというのは、レギュラーシーズンとプレーオフは、まったく別物だからだ。まずは7年ぶりのプレーオフ進出を果たして、そこで若手選手たちがプレーオフの雰囲気や難しさを肌で感じることが先決だろう。

 最後に世界一になってから今年で107年目。ファンはここまで長く我慢を強いられてきたのだから、ワールドシリーズ優勝という結論に急ぎたくなる気持ちは痛いほど分かる。今年世界一になれなかったり、地区優勝を逃した時、「やっぱりマドン監督でもレスターでもダメだったか」という悲観の声が上がるだろう。

 だが、ここまで長く待ってきたのだから、単なる一発屋ではない常勝チームに熟成するまで、結論は急がない方がいい。近い将来、長期にわたって勝てるチームに育つ要素は十分に揃っているのだから。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

佐藤直子 プロフィール

群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。

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