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【パ×Full-Count】東北930万人をファンに 創設から10年経過、楽天の新たな挑戦

今年掲げている2つの目標

 球団が講師を派遣して子どもたちを指導する「野球塾」などは13年に112校で実施。そのほか、震災の復興支援やスポーツを通じて子どもたちを笑顔にする「TOHOKU SMILE PROJECT」など挙げればキリがないほど数多くの活動を展開している。またチームも、13年のドラフトからは同等の条件であれば、地元出身選手の獲得を目指すという方針を打ち出すなど、球団が一体となって地域密着を推し進めている。

 それでも東北の地は広大で「まだまだ回れていない場所もたくさんあります」と江副部長。少しでも各地にパイプを作ろうと、今年に入り地域密着推進部の職員で手分けをして、東北の228の自治体にあいさつ回りを行っている。「1月、2月にかけてやっています。今はまだ40%から50%くらいでしょうか。今だと雪深いところもあったりするので」と江副部長は言う。

 このように東北を強く意識した活動を進めている楽天にとって今季は大きな目標が2つある。1つはさらなるファンの獲得、もう1つは各地で行う試合を満員にすることだ。

 前者は今年から「ろっけんイーグルス」というファンクラブを新設。これもチーム制同様、「青森イーグルス」から「福島イーグルス」まで各県ごとにファンクラブが設けられており、500円の入会金は共通だが、ファンクラブごとにオリジナルの特典を用意して地元色を強めている。たとえば、「青森イーグルス」ならば、入会すると東北最大級の「ねぶた祭」にイーグルスの浴衣を着てハネトとして参加できるなど、特典はいずれもユニーク。今季はファンクラブごとに1万人ずつの入会を目指している。

 後者に関しては、昨季すでに福島・郡山、山形、盛岡の一軍戦は完売となったが、秋田だけが実現しなかった。楽天は現在、一軍公式戦の開催が可能な球場のない青森県を除く5県で一軍戦を実施。二軍公式戦を含めれば、全6県で開催しており、14年は秋田、盛岡、郡山、山形の一軍戦を自主興行で行った。「本拠地の仙台以外でやる各地の興行、青森から福島までの興行の動員を満員にすることが大きな目標の一つです」と江副部長。もちろんこれは地域密着推進部だけではなく、球団全体で取り組む課題であり、目標を実現すべく日々、活発に議論を交わしている。

「プロ野球球団でチーム名に地域が入っていても、すべては都道府県にとどまっていますし、『東北』というエリア全体を冠しているのは楽天イーグルスだけ。東北930万人全員をファンにするというのは、合言葉として我々はいつも言っています」

 江副部長はそう熱く語る。

 昨年の春、東北の小学校に入学する新1年生全員に楽天のキャップを配った。7万人弱の子供たちすべてに届けたのは球界初の試みで、少なくとも今後5年は続ける計画だ。実はこれも優勝後の職員合宿で出てきたアイデアだった。そして今年からは球団内のチーム制を、選手たちにも拡大する計画なのだという。どの選手も、「チーム青森」から「チーム福島」の6チームのいずれかに所属するのだ。それにより、さらに東北への意識は高まるだろう。勝てる球団だけでなく、愛される球団へ。930万人のファン獲得に向け、楽天の挑戦は続く。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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