ヤクルトに投入された「劇薬」 成瀬は燕投手陣に化学変化をもたらすか?

開幕投手を目指すことを「撤回」したワケとは?

 だが、沖縄・浦添キャンプ第2クールの8日、成瀬は自ら開幕投手の座を狙うことを「撤回」した。

「開幕投手をやりたいと言っていましたけど、撤回します。外から来た人が開幕投手をやるのはどうかなとも思っていたし、自分の中では1年間先発ローテーションを守ることが先決。まずは1年間しっかり成績を残して、その舞台に立って、来年目指したい」

 突然の心変わりには、当日の乱調が影響していた。フリー打撃に登板したが、松井と西浦を相手に投げた43球中25球がボール判定。気温が低く、風が強い悪条件ということもあったが、力強い投球を見せた小川とは仕上がりの差が如実に表れ「思った以上に投げられなかった。50%いっていればいいほう」と反省した。

 ただ、それだけが理由ではない。FA選手として加入した苦悩もある。まだ29歳という年齢ながら、ロッテ時代はライバルがおらず、チームの王様として君臨。調整もすべては自分次第だった。ヤクルトでも指揮官からは「ゆっくり調整すればいい」と特権を与えられているが、「やってみないと分からない」のが本音。本来は思ったことをすぐ口に出すタイプながら、今は「優等生」を演じており、若手に対しては必要最小限のアドバイスに抑えている。新しい環境に慣れる作業は、もう少し時間がかかりそうだ。

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