黒田、7回零封の快投で2740日ぶり白星 投・打・守で躍動し“黒田劇場”に

打者26人に96球、2007年9月27日以来の白星 打撃では二塁打も

 メジャーリーグから8年ぶりに広島に復帰した黒田博樹投手が29日、2740日ぶりに日本で白星を挙げた。マツダスタジアムでのヤクルト戦で今季初先発。7回5安打無失点、5奪三振、1四球の快投を見せた。打者26人に対して96球を投げ、バッティングや守備でも躍動。広島が2-1で勝利し、黒田は見事に白星を掴んだ。

 2740日ぶりに日本の公式戦マウンドに上がった黒田の投球を見ようと、超満員に膨らんだ本拠地。登板前に名前がコールされると、割れんばかりの大歓声が巻き起こった。その中で、黒田が持ち味を存分に発揮した。

 初回、1番・山田への初球は142キロのツーシーム。内角いっぱいに決まるボールでストライクを取った。2球目のスライダーを打たせてサードゴロ。さらに、2番・川端はツーシームで二ゴロに打ち取った。3番・ミレッジにはツーシームをセンター前に運ばれて初ヒットを許したが、4番・雄平は外角へのツーシームで見逃し三振。無失点でスタートを切った。

 2回は畠山にセンターオーバーの二塁打を浴びたが、続くユウイチはツーシームで遊ゴロ。大引をスライダーで三ゴロに仕留めると、中村はツーシームで二ゴロとすべてゴロで打ち取り、ピンチを脱した。

 3回、黒田は杉浦を空振り三振、山田をサード梵の好守で三ゴロに仕留めた。川端にはレフト前に運ばれたが、ミレッジは右飛で無失点。4回は雄平をツーシームで二ゴロに仕留めると、畠山もスライダーで二ゴロ、ユウイチはカーブで中飛。初めて三者凡退に抑えた。

 その裏、黒田は2死1塁で2度目の打席に立つと、杉浦の直球を捉えて右翼線を破る二塁打。2、3塁とチャンスを広げたが、続く野間が一ゴロに倒れ、先制点にはつながらなかった。

 黒田は5回、大引を空振り三振に仕留めたが、中村にはレフト前ヒットを許す。しかし、続くピッチャー杉浦の投前へのバントを素早く処理。前進してボールを掴むと、二塁に完璧なボールを送り、ダブルプレーに仕留めた。メジャー時代から毎年、ゴールドグラブ候補に名前が挙がるなど定評のあった守備でも魅せた。

 その裏、広島打線が孤軍奮闘だった黒田をようやく援護する。2死1、2塁とすると、6番・梵の打球が一塁後方にフラフラと上がる。これがフェアゾーンにポトリと落ち、タイムリー二塁打に。広島がついに先制した。

 6回、黒田は山田をスライダーで見逃し三振、川端をツーシームで一ゴロに仕留める。ミレッジにはこの日初めての四球を与えたが、雄平は中飛で無失点。1点をもらった直後のイニングも隙を見せなかった。

 7回は畠山をツーシームで遊ゴロに仕留めるも、ユウイチにはセンター前ヒットを浴びる。しかし、続く大引は中飛に打ち取ると、中村は追い込んでから143キロの速球を外角いっぱいに投げ込み、見逃し三振。1点のリードを守りきり、黒田は思わず雄叫びを上げた。

 黒田はここで降板。球数は96球だった。

 広島打線はその裏の攻撃でグスマンがタイムリーを放ち、1点を追加。その後、救援陣がリードを守りきり、2-1で勝利した。

 黒田のメジャー移籍前の最終登板は2007年9月27日のヤクルト戦。この時は11安打を浴びながら3失点に抑え、完投でシーズン12勝目を挙げていた。見事な快投劇で、その時以来となる日本での白星。復帰戦は、主役が投・打・守で躍動する“黒田劇場”となった。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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