「オフの主役」パドレスが開幕前日に大型補強 驚愕のトレードの裏側とは

双方の球団の「負債」を交換?

 BJからメルビンに登録名を変えた今季は、心機一転のスタートを切ろうとしたが、キャンプ中に左足を痛めてDL入り。5月まで戦列復帰は見込まれていない。ブレーブスはチーム再建のため、残された3年4635万ドル(約55億6000万円)という契約を引き取ってくれるチームを探していた。

 ここで思い出してほしいのが、パドレスがトレードを画策していたクエンティンとメルビンだ。

 彼らはそれぞれ1年800万ドル(9億6000万円)、2年1600万ドル(約19億円)という契約が残されている。合計で2400万ドル(約28億6000円)。メルビン・アップトンの4635万ドルの半分程度にしかならないが、双方の球団にとって「負債」となる選手を交換することで相殺した形を取ったというわけだ。ちなみに、ブレーブスは獲得直後にクエンティンを戦力外通告としたため、800万ドルはドブに捨てたようなものだ。

 まさかのトレード成立から24時間。ブレーブスの一員として開幕を迎えるはずだった遠征地マイアミから、パドレスが開幕戦を戦うロサンゼルスまで大忙しの移動をしたキンブレルは「今、勝とうという姿勢を持っているチーム。選手からフロントオフィスまで、みんなが今季を楽しみにしているのを肌で感じられるなんて、こんな素晴らしいことはないよ」と、地元メディアに笑顔で語ったという。

 大変身を遂げたパドレスは、果たして今季、9回のマウンドに何度、キンブレルを上げることができるのか。注目が集まる。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

佐藤直子 プロフィール

群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY