巨人・阿部に続く存在は? 「球界NO1捕手」の称号を引き継ぐのは誰だ

野村元監督に指導を受けたからこそ成長した嶋

「野村さんはキャッチャーのリードに厳しい方だから、どうしても、キャッチャーの意識は知らず知らずのうちに対相手チームではなくなってしまうことがあるんです。キャッチャーが野村監督と勝負しているんですよ。若いうちは特にそうですね。ピッチャーには厳しいリードになってしまう。

 だけど、そう言われながらも教わったことが出来るようになりつつあって、監督が交代された。そして、2年後には星野さんという、そこまでリードについては言われない方が入った。もちろん、星野さんも言いますけど、野村さんほどではない。そうなってくると、自分で考えて、ベンチに向いていた意識が、グラウンド方向に向けられるようになります。ピッチャーのことを考えられるようになるんです」

 嶋も、楽天が初の日本一に輝いた2013年に、自身の変化について「ピッチャーに優しいリードになった」と表現している。相手の弱点を突くよりも、投手の力を最大限に活かすことを考える。そんなリードになったというのだ。これも野村元監督の指導があったからこそ可能になったのだと野口氏は指摘する。

「(野村元監督にリードについて)言われたからこそ、そうなったんです。言われなかったら、いつまでたってもそう(投手目線に)はならない。(意識が)いろんな方向を向いちゃうんです。投手に集中してあげられない。嶋君はいい時に野村さんについたと思います」

 絶対的な土台の上に築かれている嶋のリードが、現在の球界の中でもトップクラスであることは間違いない。

 野口氏がもう1人、気になる存在として名前を挙げるのは、オリックスの伊藤光だ。25歳の若き捕手は2013年にレギュラーの座をつかみ、昨年は優勝争いを繰り広げたチームで奮闘した。今年は開幕からオリックスにとって苦しい戦いが続き、32歳の山崎勝己が先発マスクを被る試合も出てきている。だが、これは伊藤にとって貴重な経験になると野口氏は言う。

「去年もすごくいい経験しているけど、今年も苦しんでいる。こっちのほうがいい経験だと思うんですよ。去年の優勝争いの最後のしんどい中で勝っていかないといけないという経験もいいですけど、うまくいかなかった時の経験のほうが、その先に生きてくると思うんです。

 今年は補強して、オリックスが優勝候補ナンバーワンという声もある中で開幕したにもかかわらず、いきなりこけてしまった。若いうちにこういう経験をしておくのも大事だと思います」

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