得点力上昇の中日、「弱み」をカバーする起用法とは?

森野故障のダメージをカバーする中日の内野陣の併用策

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内野手の併用に成功している中日

 併用に成功していることをうかがわせるのが中日の内野だ。遊撃手をアンダーソン・エルナンデスで固定しているが、一塁、二塁、三塁には全出場イニングの70%以上を守った選手がいない。それでも各ポジションの平均的な攻撃力に対し、それぞれ106.3%、96.2%、105.4%。一定の攻撃力を維持している。

 昨年は森野将彦を一塁に、エクトル・ルナを三塁にほぼ固定し、ある程度の攻撃力を確保したが、今年はエルナンデスと堂上直倫で分け合った遊撃や二塁の攻撃力が不足していた状況からの改善が見られる。これは一塁で固定されていた森野が故障で離脱していることを考えれば上出来だろう。

 一塁と三塁はルナ、福田永将、高橋周平、二塁は荒木雅博、亀澤恭平を併用。先発投手が右腕の場合は一塁にルナ、三塁に高橋、二塁に亀澤が入り、左腕の場合は一塁に福田永将、三塁にルナ、二塁に荒木が入ることが多い。

 選手を固定して起用できるチームに対抗するには、併用で強みと弱みを補うような選手の組み合わせをつくりだす必要がある。

 中日は投手の左右で使い分けている福田、高橋、亀澤が好調をキープしており、この起用がある程度効果を生んでいるようだが、今回は触れていない守備力やその他の適性を考慮すれば、併用策はさらに精密に検討できるようになるだろう。

(注)wOBA:Weighted On-Base Average
打者が打席当たりにどれだけチームの得点増に貢献しているかを評価する指標。総合的な打撃力を表す。四球、単打、二塁打、三塁打、本塁打等の各項目について統計的な研究から妥当と思われる得点価値の加重を与え、打席当たりで平均することによって算出される。数字のスケールは出塁率に合わせられており.330程度が平均。各項目への重みづけがOPSよりも適切。

wOBA(NPB版)={0.692×(四球?故意四球)+0.73×死球+0.966×失策出塁+0.865×単打+1.334×二塁打+1.725×三塁打+2.065×本塁打}÷(打数+四球?故意四球+死球+犠飛)

【了】

DELTA●文 text by DELTA

DELTA プロフィール

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。http://www.deltacreative.jp

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