なぜ何度も這い上がれるのか ヤクルト館山が1019日ぶり白星に秘めた思い

高津投手コーチも高評価、「以前と変わらない館山だった」

 勝つことのみを考えてマウンドに上がった館山だったが、初回にいきなり筒香に右前適時打を浴び、先取点を許した。だが、館山の中には、確かな手応えがあった。

「真っすぐも、カットも、シュートも、しっかり操ることができていた」

 2回以降は最速147キロを計測した力のある直球と、カットボール、シュート、フォークを駆使し、DeNA打線を手玉に取った。終わってみれば、6回1失点。許したヒットは、初回の筒香の適時打1本だけだった。

 80球での降板となったが、真中監督は「ファームで100球以上は投げていますけど、1軍の緊張感はまた違う。6イニングまで行ってくれたし、早めに判断しました」と今後のことを考え、交代させたことを明かした。

 また、高津投手コーチは「前回よりも数段上だった。バッターの打ちづらいタイミングで投げていた。バテたりするところを除けば、以前と変わらない館山だった」と最大級の賛辞を贈った。

 不屈の男だ。08年から12年まで5年連続で2ケタ勝利を挙げるなど、石川雅規と共に一時代を築き上げた。だが、これまで3度の右肘じん帯再建手術を含め、通算7度の手術を受けるなど、度重なる大ケガに苦しめられてきた。全身には151針もの手術跡が刻まれている。今回も、13年4月5日のDeNA戦(神宮)を最後に2年もの間、孤独と戦いながらリハビリを行ってきた。

 なぜ、何度も這い上がってこられるのか。

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