大谷翔平の球速はもっと上がる 無限の可能性秘める21歳に残された修正点

全盛期の藤川球児のように『バチン』と音を出せるようになれば…

 大谷の左足の踏み出し方については、以前から専門家の間で議論となっていた。地面に着いた左足を跳ね返すようにグッと戻す動きはいいのか、悪いのか、意見が分かれている。これについて、野口氏は言う。

「おそらく、ダメという人たちは、ちょっと昔の方だと思うんですよ。昔は投げ終わった後にポンポンと2、3歩(前に)出て行くくらいでいいと言われていたんですけど、一瞬に力を爆発させるには、やはり力の衝突みたいなものがあって、そこから腕を振れるほうがいいと思うんです。それを考えると、戻ってくる形、左足で少しこらえる形が必要なのではないかと。こらえようとするから、戻ってくるんです。

 ただ、(大谷の場合は)戻ってくるほうがちょっと強すぎて、(前に)行くのがちょっと邪魔されていた感じはあったかなと思う。要するにタイミングが少し合っていないだけだと思います。それが、今年は少しずつ合い出した。膝が割れずにそれができるようになれば、100パーセントのタイミングで(ボールを)離せるようになって、横のブレもなくなる」

 現時点では、野口氏が「体が開いてから腕が出てくる。だからタイミングが合わない」と指摘する大谷だが、改善されれば「とんでもないことになる」という。

「例えば、今、初速が160キロ出てるので、終速は152、3キロだと思うんですけど、これが155キロくらいになると思います。そうなったら、バッターはアウトです。どうにもならないです」

 具体例として、野口氏は阪神時代にチームメートだった藤川球児(現・独立リーグ高知)を挙げる。全盛期の伸び上がるような直球は、まさに打者がどうにも出来ないボールだった。

「球児はそれができていたんですよ。だから(タイミングが合って)ビュンと来る。球児が絶好調の時は、リリースの瞬間に『バチン』と音がしたんです。最初はビックリしましたよ。『何だ今の?』って。ブルペンは静かなので、そんな音がすると目立つんです。修正点が直ったら、大谷もそういう音がするかもしれない」

 そして、「それを直してしまえば、完璧になるかもしれない」と野口氏は脱帽する。

 唯一の心配は、今季、途中降板の原因となっているふくらはぎの痙攣や指先のマメといったコンディション面の問題。ただ、これは二刀流として打者もこなす上に、圧倒的な身体能力を誇ることが原因となっている可能性が高いと見ている。

「他のピッチャーに比べたら、疲労感は絶対にありますよね。あと、瞬発力は凄いものを持っていると思うんですけど、それに体がついてきてないのかもしれないですね。(マーリンズの)スタントンが空振りで(左手を)骨折したような、そういう感覚なのかもしれないです」

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