元スター候補がつかんだセカンドチャンス バルデリ、指導者として再出発

将来的には監督就任も

「フロントの考えは分かるし、データの重要性も理解している。最終的にプレーするのは選手で、我々はサポートする立場」と話す。最近ではエンゼルスが現場とフロントの考えの相違でゼネラルマネジャーが辞任する事態に発展しただけに、両者の意向をつなぐバルデリの存在は大きい。

 昨季途中にエースのプライスがトレードで抜け、今季開幕前にマドン監督がカブスへ「移籍」した。厳しい戦いが予想されたが、開幕から一時ア・リーグ東地区の首位に立つなどプレーオフ争いに何とか踏みとどまる健闘をみせている。守備でも堅守を維持しており、バルデリコーチは「キャッシュ新監督の下、選手と首脳陣のコミュニケーションがうまくとれている」とチーム内の雰囲気の良さを要因に挙げる。

 最近のメジャーでは極端な守備シフトを用いることも珍しくなくなった。各球団ともデータを重視した選手起用にシフトしており、バルデリのようなフロント経験者の需要は今後さらに増しそうだ。今回の現場復帰も将来の監督就任を見越しての措置という声もある。「(フロントにいた4年間で)野球の見方が大きく変わった。レイズの野球にはまだまだ大きな可能性がある」と、情熱を燃やす33歳の第2の野球人生に注目したい。

【了】

伊武弘多●文 text by kouta Ibu

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