「日本球界で育った」元中日・チェン、渡米4年で見せる安定感の“秘訣”

日本人投手とは日本語で野球談義、今オフのFA市場でも注目の存在

 今年で30歳を迎え、体そのものにも注意を払うようになった。20代前半の頃は、先発投手は走り込みさえすればいいと思っていたが、メジャー移籍を意識し始めた頃から、少しずつウェイトトレーニングを導入。メジャー移籍後は「体力がないと、厳しいスケジュールを乗り切れない。ウェイトをして体を強くしておくことも大事」と、走り込みに加えてウェイトトレーニングも欠かさず行っている。

 郷に入っては郷に従え、という教訓は、台湾から日本へ渡った時に、身をもって体験した。メジャーという新しい環境に慣れるまで、比較的短い時間で済んだのも、当時の経験があるからだ。よく観察する。分からないことは聞く。シンプルだが大切なことを、今でも守り続けている。

「メジャーにはメジャーの調整方法がある。だから、他の投手がどんな調整をしているのかトレーニングルームに観察しに行ったり、どんな握りをしているのか聞きに行ったりすんです。自分に合いそうなものは取り入れればいいし、合わなければ合わないでいい。一度試してみればいいんじゃないかなって」

 日本人投手が所属するチームと対戦する時は、必ず挨拶に出向き、日本語で野球談義に花を咲かせる。どんな情報やアイディアでも見つけようという姿勢は貪欲だ。

 フリーエージェントとなる今オフは、先発左腕としては、デービッド・プライス、スコット・カズミアに次ぐ存在として引く手あまたになるはずだ。注目して損はない。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

佐藤直子 プロフィール

群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。

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