自己最多の白星積み上げる広島・福井 5年目右腕を覚醒に導いた黒田の言葉

「チームの救世主」との問いかけに返した言葉とは…

 5月に入り、週に1度の登板が定着して「日曜日の男」となると、自身4連勝を記録。チームが苦手とする交流戦でも2勝をマークした。1年目と並ぶ8勝目をマークした8月16日のDeNA戦では、失点後に「切り替えて投げられたのが良かった」と、マウンド上では余裕も感じられるようになった。「1年目はわけもわからない状態で、チームが勝ってくれていた。今年は自分で課題を持って、試合をつくって勝てている」という言葉は、成長の証と言えた。

 そして自己最多となる9勝目を挙げた巨人戦。チームの連敗を4でストップし、『チームの救世主』と報道陣に持ち上げられた時、冗談交じりに返した言葉に、今季の福井の変貌が見えた気がした。

「勝てば救った、と言ってもらえるし、負けたとしても逆に仕方ない、というか目立たないじゃないですか。そういう意味で、どんな状況でもあまり自分を追い込まないようにしています」

 見えない敵と戦っていた福井の姿は、もうない。

 シーズンも大詰めに差し掛かり、プレッシャーのかかる試合が増える中、福井がこの姿勢を貫けられれば、これほど頼もしい存在はいない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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