西武を救った牧田の男気 臨時守護神がもたらした“目に見えない効果”

牧田がもたらした“目に見えない効果”

 結局、その一戦だけが臨時守護神を務めていた間にセーブ機会を失敗した試合だった。8試合で1敗3セーブ。チームも13連敗のどん底からは脱したが、絶好調のV字回復までは至らず、セーブ数は思ったほどは伸びなかった。

 だが目に見えない効果はあった。勝利の方程式が「3本の矢」となったことで、1人1人への負担は軽減された。左腕の高橋朋を左打者が並ぶ打順に、逆に右腕の増田を右打者にぶつけた。被打率が低めな相手に結果を出し、少しずつ自信を取り戻させた。

 約3週間の転向期間を経て、元の持ち場に帰る時がやってきた。先発郭俊麟が不調で先発ローテの枚数が足りなくなり、牧田の帰還が決まった。

 8月27日の日本ハム戦。約1カ月ぶりに先発マウンドに立つ牧田の姿があった。「抑えをやって1球の重みをあらためて感じた」。ピンチを迎えても守護神のように動じずに切り抜けた。6回無失点で51日ぶりに6勝目を挙げた。チームもロッテとの熾烈なAクラス争いへ、態勢が整った。牧田の男気があったからこそ、息を吹き返すことができた。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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