【小島啓民の目】指導者のお手本とも言える工藤采配 強いチーム作りに必要なモノ

ホークス工藤監督との共通点感じさせるヤクルト真中監督

 アメリカではGM(ゼネラルマネージャー)が絶対的な権力を持って、監督はGMとのコミュニケーションにより、采配を振るっていくことが慣例ですが、日本プロ野球では、監督の発言が絶大すぎて、時に暴走してしまうことが多いように思います。

 指導者とは、選手が気持ちよくプレーできる環境を作り上げることが使命です。今回の工藤采配は、アマチュアにとっても良いお手本になったと思います。

 逆にプレーヤーは、自分の失敗を監督やコーチに責任転嫁せず、失敗したのは自分が下手だからだという気概で日々取り組まなければなりません。先日、あるイベントで元オリックスの田口壮氏と会話をする機会がありましたが、「下手くそなんで、練習するしかなかったんですよ」と言っておられました。プロでもそう思っているのですから、アマチュア選手にもこういう気持ちを常に持っていてもらいたいです。

 セ・リーグは、優勝争いが混沌としています。ヤクルトは、ソフトバンクほど戦力は充実していませんが同じ匂いを感じますね。真中満監督とはアマ時代に全日本合宿で練習をしたこともあり、人柄を拝見していますが、非常に人から慕われる人徳を持っているなと感じています。優勝争いをしているチームが、正念場でどのような力を発揮して抜け出すのか楽しみですね。

【了】

小島啓民●文 text by Hirotami Kojima

小島啓民 プロフィール

kojima
1964年3月3日生まれ。長崎県出身。長崎県立諫早高で三塁手として甲子園に出場。早大に進学し、社会人野球の名門・三菱重工長崎でプレー。1991年、都市対抗野球では4番打者として準優勝に貢献し、久慈賞受賞、社会人野球ベストナインに。1992年バルセロナ五輪に出場し、銅メダルを獲得。1995年~2000年まで三菱重工長崎で監督。1999年の都市対抗野球では準優勝。日本代表チームのコーチも歴任。2000年から1年間、JOC在外研修員としてサンディエゴパドレス1Aコーチとして、コーチングを学ぶ。2010年広州アジア大会では監督で銅メダル、2013年東アジア大会では金メダル。侍ジャパンの台湾遠征時もバルセロナ五輪でチームメートだった小久保監督をヘッドコーチとして支えた。2014年韓国で開催されたアジア大会でも2大会連続で銅メダル。プロ・アマ混成の第1回21Uワールドカップでも侍ジャパンのヘッドコーチで準優勝。公式ブログ「BASEBALL PLUS(http://baseballplus.blogspot.jp/)」も野球関係者の間では人気となっている。

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