米野球殿堂入り&WS3度制覇の名将が前田健に熱視線 「かなり印象的だった」

日本人投手に負傷相次ぐも「日本に限ったことではない」

「我々にはファームの選手層という武器があります。層は本当に厚いです。トレードでメジャートップ級の選手を獲得できるだけの人材もいます。そして、彼らがトップチームに昇格してインパクトを残すような期待もしています。ファームシステムは我々の強みの1つです。実は数年前には弱点でした。勝とうと固執した揚げ句、人材をほとんどトレードで供出してしまいました。そこから、ファームの強化に集中してきました。

 2年間はかかりましたが、トレードとドラフトで人材を集めました。ここまでは計算通りです。来季プレーオフを狙うにはローテーションのトップの投手が必要です。補強ポイントは1人か2人ですね。リリーフも必要です。そして、前田はポスティングを経てメジャーに挑戦するのか、彼の身に何が起こるか様子を見なければいけません」

 地元メディアはDバックスが来季、世界最速170キロを誇るレッズのキューバ人クローザー、アロルディス・チャップマンをトレードで獲得することを検討していると報じているが、ポスティングの状況を見て前田の獲得にも乗り出す方針だ。

 一方で、近年米国に渡っている日本人投手に故障が相次いでいる現状を球団側はどう見ているのだろうか。

 今季開幕前にはレンジャーズのダルビッシュ有投手が右肘靭帯の損傷でトミー・ジョン手術を実施。ヤンキースの田中将大投手やマリナーズの岩隈久志投手、レッドソックスの上原浩治投手も故障に苦しんだ。上原は打球を右手首に受けるアクシデントだったが、日本人の先発投手で今季現時点で規定投球回に達した選手はいない。メジャー球団にとって日本人獲得はリスクと映っているのか。

 ラルーサ氏は否定する。

「日本人に故障は増えていますが、それは日本に限ったことではないですね。ピッチャーに関してはアメリカ人もラテンの投手も肘を怪我しています。どこの国から来ようと投手には故障のリスクが存在します。

 全力投球すれば、肘と肩に多大なプレッシャーがかかる。改善策はあまり投げすぎないことです。ただ単に投げるのではなく、ピッチングを教える。制球を大事にして、闇雲に思い切り投げないことを教える。対応策はそれしかありません」

  ラルーサ氏はそう話し、負傷のリスクは出身地に関わらず世界的な問題と指摘し、獲得へのリスクとならないと分析している。

 前田に関しては球団社長をはじめ、編成の最高責任者も高評価を与えており、広島のエースとして奮闘する右腕の去就には太平洋を越えて熱い視線が注がれている。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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