カージナルス、強さの秘密―目の肥えたファンと生え抜き中心のチーム作り

指揮官「強みは個人よりもチームにとって何が必要かを考えてくれる選手がいること」

○チームに根付く自己犠牲の精神

 複数のポジションを守ることのできる器用で小技のできる選手が多いのも特長だろう。シカゴ・カブスとのナ・リーグ地区シリーズ第1戦では相手が左投手ということで、右打ちのピスコッティ外野手が一塁で起用された。レギュラーシーズンで一塁を9試合しか守った経験のないルーキーには荷が重いようにも感じたが、試合前にオケンドーコーチの指導を仰いでそつなくこなした。

 この試合で貴重な駄目押し2ランを放った右打者は「自分はどちらかと言うとユーティリティータイプの選手。大学時代から複数のポジションを守ることに慣れていた」と事も無げに言う。マシーニー監督は「我々の強みは個人よりもチームにとって何が必要かを考えてくれる選手がいること。自己犠牲の精神がこのチームにはある」と献身的な姿勢がチームに浸透していることを強調する。

 新人だけでなく、他球団から移籍してきた選手もすぐにカージナルスの野球に適応するのに時間はかからない。オケンドーコーチは「軸となる選手がいて彼らには自己犠牲の精神がある。他の選手の見本となっている」と言う。昨季20勝を挙げた大黒柱のウェインライトが9月にけがから復帰後、リリーフの役割を献身的にこなしているのもその典型だ。シーズンでは目立たないカージナルスが短期決戦で輝きを増すのはそのような特性があるからだろう。

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