「山田キラー」となれるか 巨人、魅惑のサイドスロー・田原誠次の未来図

ハートが強い」と評される右腕、「野球人生で一番緊張した」場面で見せた好投

 ピッチャー・内海に代わりまして、田原誠――。

 表情を変えず、大事な一戦のマウンドへブルペンから走っていった。巨人のリリーフ投手・田原誠次投手(26)である。2011年のドラフト7位で三菱自動車倉敷オーシャンズから入団。1年目から台頭し、高木京介とともに新人ながらリーグ優勝に貢献した。しかし、最近は左膝のケガなどで、名前が聞こえてこなかった。それでもヤクルトとのクライマックス・シリーズ最終ステージでは欠かせぬ存在となっている。彼は今、トリプルスリーを果たした山田哲人を封じる「山田キラー」として、再び光が当たりつつある。

 第1戦の5回。先発の内海哲也投手がランナーを一塁に置きながらも2アウトまでとった。ここまで山田が打ち損じて、2打席抑えられていたとはいえ、内海の球威では一発を浴びる可能性も十分あった。原監督は迷わずに、後半戦好調の田原誠をマウンドへ送った。

 持ち球を最大限に使った。直球や武器であるシンカーをコースに丁寧に投げ分け、最後は外角のカーブで見事に空振り三振に仕留めた。原監督ら首脳陣に「ハートが強い」と評されるサイド右腕が「野球人生で一番、緊張したかもしれない」というほどの大きな舞台。脚光を浴びる中で自分の投球ができたことは称賛に価する。

 光もあれば、陰もあった。今年は打撃陣や先発陣とは違い、巨人の中継ぎ陣の層は厚かった。開幕時、2軍には1軍レベルの投手が多くおり、イースタン・リーグで登板するのも一苦労。田原誠も「出番があまりない。状態はいいけれど……、今はやれることをしっかりとやって準備するしかない」と、もがき苦しんでいた。5月に1軍へ上がったが、先発投手登録の関係で、2登板で抹消されることもあり、扱いは決して恵まれてはいなかった。

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