驚異の出塁率に2打席連発 山田哲人が「プレミア12」で見せた底知れぬ力

3位決定戦で変えた意識、「振っていこうと思った」で2打席連続弾

 打席での意識は、3番打者というよりも、リードオフマンに近かったのかもしれない。1番は日本人最多の193安打を放った昨年の定位置だったが、国際大会で初対戦のピッチャーが多いということも、山田の考えを徹底させることに繋がった。

「追い込まれるときついけど、(相手が)どういうボールを投げてくるか、積極的に振るというより、ルーティンとして1打席目はよく見ました。球筋をほかのバッターに見せたいというのもありました」

 チームとして、どのように相手投手を打ち崩すかを意識したことで驚異の出塁率を叩き出し、チャンスメーカーとして機能した。

 しかし、そんな山田がホームランバッターとしての実力を見せつけたのが、最終戦となった3位決定戦。メキシコ相手に初回の先制弾、2回の2ランと2打席連続で豪快な本塁打を左中間スタンドに叩き込んだ。

「今日は振っていこうと思った」

 試合後、山田はこう振り返っている。3位決定戦も負けられない試合には変わりないが、準決勝までの戦いとは明らかに雰囲気が異なる。スラッガーとしての本能を剥き出しにして、見事に2本のアーチをかけた。

 チャンスメーカーに徹すれば圧倒的な出塁率を残し、“制御”を外せば豪快なホームランを放つ。23歳でトリプルスリーを達成した山田の魅力が凝縮された大会だったと言えるかもしれない。

 2017年に控える第4回WBCでも、王座奪回へ向けて侍ジャパンの主軸を任されることは間違いないだろう。山田は「(2年後も)選ばれたい気持ちはある。シーズン中に活躍しないと日の丸は背負えないと思うので、シーズン中からしっかり結果を出そうと思っています」と誓った。いったいどこまで進化するのか、来シーズン以降も目が離せない。

【了】

清水友博●文 text by Tomohiro Shimizu

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