去就決定前から米国内でも注目高まる前田、MLBで好成績を残せる可能性は?

現在のメジャーで武器となるカーブ、日本人投手の武器となってきたスプリット

「あの田中でさえ、カーブを投げ始めたんですよ。日本ではほぼ投げなかったカーブを。黒田もカーブをしっかり投げて、カウントを取れていた時は抑えていた。ちょっと腕を振って投げたら、今のメジャーリーグではカーブが本当に通用するんですよね。

 日本人投手以外でも、カーブを武器にしているピッチャーが近年は勝っている。右左の違いはあるけど、カーショーであったり、バーランダーであったり、ウェインライトであったり、(今年のサイ・ヤング賞に輝いた)アリエッタやカイケルもそうですよね。みんなカーブが武器ですから」

 現在、前田はスライダー、チェンジアップといった変化球を主に使っているが、入団当初はカーブが高く評価されていた投手。野口氏は「真っ直ぐとカーブしか投げられない状態で入ってきたような投手ですからね。広島に入ってからスライダー、チェンジアップと覚えたので」と振り返る。大きな武器となる可能性が高いだけに、このボールの割合をどれだけ増やせるかが、1つの鍵となりそうだ。

 そして、もう1つのポイントとなるのはスプリットだという。過去の日本人投手を見てみても、落ちるボールを投げられるかは、成功への条件の1つと言える。野口氏は「前田のチェンジアップは元々、どっちかというとシュート気味に流れていく。メジャーでは落としてほしい」と指摘する。

 2014年のシーズン開幕前、前田はプロ入り当初に投げていたスプリットの再習得に取り組んだ。投球の幅をさらに広げるとともに、メジャー移籍を視野に入れた挑戦でもあったはずだ。ただ、これがうまくいかずに成績を落とした。チェンジアップの落差が大きくなってきたことなどもあり、今季は“封印”していたが、多くの日本人投手がスプリットを武器にメジャーで活躍していることは事実だ。

「その時(2014年)の経験があるので、本人も投げるのが怖いのかもしれないですけど、落としたほうがいいと思うんですよ。ここ何年かの日本人投手の条件ですよね。あのスライダーを持っているダルビッシュだけが唯一の例外で、他の投手はカーブとスプリット(が条件)ですよ。田中も岩隈もそうですし、黒田もボールを動かしながらスプリットを決め球にしていた。上原は魔球と言われていますし、田澤も落としていますよね」

 もう1度、スプリットに挑戦することはあるのか。それとも、落ちるボールはチェンジアップと割り切るのか。ポイントの1つになりそうだ。

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