ロッテドラ1平沢が胸に刻む恩師の教え 高校時代に追求した「難しい道」

「他人の成功を喜べる、他人の失敗を一緒に悔しがれる人になってほしい」

 ある時、平沢に「高校で一番、頑張ったなと思うことは?」と質問したことがある。打撃や守備について聞いたつもりだったが、平沢はこう話し出した。

「高校で頑張ったことは……、う~ん、仲良くなることですね。技術的にはあんまり頑張ったって感じじゃないんで。技術的に頑張ったというよりは、仲良くなったり、チームワークをよくしたりするために頑張りましたね。いざこざとかあるじゃないですか。それを乗り越えられるような仲の良さがないと、チームって勝手に崩れると思うんです。そういうことをなくすためにも、仲良くなって、一緒に乗り越える環境を築こうと、先生(佐々木順一朗監督)に言われてやってきたので、それが一番、頑張ったことだと思います」

 佐々木監督は「自分の心配はしなくていい。ちょっと努力が必要な人の心配をしてみろ」と選手たちに話し、「他人の成功を喜べる、他人の失敗を一緒に悔しがれる人になってほしい」と願っている。だから、仙台育英の「野球ノート」には自分のことではなく、チームの状況や課題を書くことになっている。

 先日も佐々木監督は3年生にこう話した。

「3年生諸君は1年生の時、『仲が良いね』とは言われていないと思うんだよね。『これから仲良くなっていかないと、良い思いはしないよ』ということを言われていたと思うんだけど、みんなでいろんなことを乗り越えてきたからこそ、お互いのことを分かったり、『お前、ダメなんじゃないか』とか遠慮なく言えたりする仲間になっていった。

 それを補助してくれたのが、お父さん、お母さんたちじゃないかなと思います。みんなが仲良くなってくれると、もう僕の出番はないなと思います。そうなれば、『みんなで良い思いをしようや』という風になるし、グラウンドでやることもやるようになる。こっちからどんどん離れていって、みんなが大人になっていった感じなんじゃないかなと思います」

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