地球の裏側にあるもう一つの野球 日本人にも貴重な経験となるドミニカ流

同じWBC覇者でも対極のスタイル、ドミニカのスタイルが教えてくれるモノ

 ドミニカ共和国に滞在した1週間、野球についていろいろ考えた。よく「ベースボール(野球)は世界共通言語」とは言うが、各地に方言があるように、野球にも各国各地域の色がつく。では、日本の野球とドミニカの野球は、どちらが優れているのか? アメリカのメジャーリーグが世界最高峰リーグと言われてはいるが、WBCでは日本もドミニカも覇者。世界のトップレベルにあることは間違いない。だが、プレーしている野球そのものは、まったくタイプが違う。ひと言で言えば、日本は堅実、ドミニカは自由。個人的な好みを言えば、天真爛漫でおおらかなドミニカの野球だが、正直なところ、答えはいまだに見つかっていない。

 街角で、原っぱで、球場で、ドミニカでは場所を選ばず至るところで野球を楽しむ子供たちの姿を見掛ける。子供たちだけじゃない。大人になっても野球が大好き。指導者たちも野球が大好き。もちろん、勝負事だから勝ち負けは大事だが、それ以上に「野球をプレーする楽しさ」を共有しよう、という気持ちが、誰の心にも備わっている。

 基本的に、ドミニカでの子供に対する指導法は、失敗を正すのではなく、褒めながら長所を伸ばしていく方法だ。ノックを受けながら「いいね、そのプレー」「すごいぞ」と声を掛けられた子供たちは、次はどんなすごいプレーをしようかと考え、失敗を恐れずに新しいプレーの可能性を探り、挑戦していく。飛んできた打球を正面に入って捌こうが、逆シングルで捌こうが、結局は少しでも早くアウトが取れればいい話だ。「アウト」という結果に至るまでのプロセスは、いくらでも個性が出ていい部分であり、子供たちの可能性がいくらでも広がる部分だろう。

 守備だけではなく、ピッチングにしてもバッティングにしても、形にはこだわらない自由さがある。きっちりストライクを投げられればいいし、ボールをしっかり打ち返せればいい。もっといい球を投げるには、もっとヒットを打つためには、どうしたらいいか。そんな疑問にぶつかった時、指導者はアドバイスの声を掛ける。

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