キヨシ電撃辞任、68暴投、番長大記録、4番筒香…DeNAの2015年10大ニュース

お茶の間に話題を振りまいた中畑監督、「ファンあってのプロ野球」を体現

○4位 春季キャンプにゴジラ来訪

 米大リーグのヤンキースや巨人などで活躍した松井秀喜氏が春季キャンプを訪問した。巨人以外のキャンプ訪問は初めてだった。初日には報道陣が164人、2000人の観衆がグラウンドに訪れるなど、日本を代表した左のスラッガーに視線が集まった。松井氏は選手それぞれにアドバイスを送ったり、フリー打撃を披露したり、即席のサイン会を開いたり。中畑監督のラブコールを受け入れ、3日間を過ごした松井氏は「若い頃にお世話になった(中畑監督の)奥様への恩返し。僕としても新鮮でした」とほほえんだ。ベテランの多村や若手の筒香ら全選手にとっても、刺激を受けた貴重な時間となった。

○3位 山崎康、球場席巻、新人王に

 開幕からクローザーに抜てきされたルーキー右腕の活躍は目覚ましかった。3月31日にプロ初セーブをマークすると、5月には月間10セーブを挙げて新人最多記録を更新。8月20日のヤクルト戦で32セーブ目を挙げ、亜大の先輩である与田剛(中日)の新人最多記録を塗り替えた。最終的にはリーグ3位の37セーブと堂々たる数字を打ち立て、球団では2000年の金城龍彦以来の新人王に輝いた。屈託ない笑顔と他球団のファンにも分け隔てなくサインや写真撮影に応じる姿はファンの心をつかんで離さなかった。登場曲「ゾンビネーション」に合わせて観客が飛びはねる通称「ヤスアキジャンプ」は横浜スタジアムの風物詩となり、本拠地をさらに熱くさせた。12月には米カリフォルニア州で短期留学をするなど、真価が問われる2年目に向けての準備に余念はない。

○2位 筒香、日本の4番へ

 中畑監督からDeNA2代目の主将に任命された筒香が大きく才能を開花させた。プロ6年目は開幕から4番に座り、一時は三冠王が狙えるバッティングでチームを力強く牽引した。5月には自身初となる月間MVPを受賞。交流戦直前に右太もも裏を痛めながらも戦線を離脱することなく、1年間を戦い抜いた。打率3割1分7厘、93打点、24本塁打はそれぞれ自己最高をマーク。11月の国際大会「プレミア12」では負傷した中村(西武)に代わり、4番を張った。初のベストナイン選出にも、12月にはドミニカ共和国でのウインターリーグに参加。和製大砲は歩みを止めない。

○1位 キヨシ、電撃辞任

 球団の親会社がディー・エヌ・エー(DeNA)に交代し、生まれ変わったチームを率いて4年。優勝を目標に掲げた今シーズンは1998年以来の首位で前半戦を折り返し、球団からは7月中旬に来季5年目の続投要請まで受けた。しかし、勝負の後半戦で大失速。続投か、辞任か。61歳の指揮官は大きく揺れ動いた。9月下旬にコーチ陣の組閣などを巡り、球団と話し合いの場を持ちながらも妥協点を見いだせず。長いプロ野球の歴史で初めてとなる前半戦首位から最下位に終わった責任を取って、球界の人気監督は辞任という道を選んだ。

 2012年の春季キャンプでの一人ソチ五輪、インフルエンザ騒動から始まり、今シーズンは一人紅白など野球以外の面でもお茶の間に話題を振りまいた。王貞治(ソフトバンク会長)、長嶋茂雄(巨人終身名誉監督)を尊敬し、目標とした野球人は「ファンあってのプロ野球」をそのまま体現した。悲願のクライマックスシリーズ進出こそ果たせなかったが、横浜スタジアムでの大入りは就任1年目の4度から10倍以上の43度まで増えた。ファンに愛された背番号70が横浜の街に別れを告げた。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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