二刀流3年目をデータで振り返る 圧巻の「投手大谷」、伸び悩む「打者大谷」

投手として必要なのは「決まり事を作らないこと」

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2015年 投手・大谷翔平の球種別コース比重ヒートマップ

 一方で、カーブは20球しか結果球がないが、わずか1安打の被打率5分と打たれていない。野口氏は「あの真っ直ぐを持っている投手に対して、打者がカーブを狙うことはまずないので。追い込まれるまでカーブは打ちにいけないでしょうね」と指摘。ただ、投球全体の4.6%にあたる114球しか投げていない球種を安易に増やす必要はないという。

「ただ『カーブ行きます』では通用しないので、腕の振りをどれだけストレートに近づけられるか。その上で投げるカーブだったら、もっと増えてもいいですけどね。むしろ増えたほうが簡単にカウントを取れるので。ただ、大谷のカーブは腕の振りが緩んで、ふわんと投げてくる。(元中日の)今中さんや山本昌さんは、(カーブかどうか)分からなかった。今で言えば前田健太もそうですね。

 大谷も投げ方、腕の振りが変わらない状態で投げられれば、もっと(カーブが)増えてもいい。スライダー、フォークは腕を振って投げられるので。ただ、カウントを取りにいった時のスライダーはまだ腕が振れてない時もあります。打者は『(腕の振りが)緩いな』と感じるなど、普段の真っ直ぐと明らかに違う腕の振りをされると、反応できるものです」

 裏を返せば、カーブの腕の振りが改善されれば、剛腕の投球の幅はさらに広がり、まさに手のつけられない状態になる可能性もあるということだ。

 野口氏はさらに、大谷について「このピッチャーは課題どうこうじゃないと思う」と言う。圧倒的な能力を誇る右腕がやるべきことは、いたってシンプルだ。

「ストライクが入るかどうか。自分がキャッチャーだったら、(ストライクゾーンのコース)9分割ではなくて、4分割で要求すると思います。それで十分です。あとはどの球種にしても決まり事を作らないこと。『2ボールからは絶対に真っ直ぐ』というようなことです。そうならないように、スライダーでもカーブでも何でもいいから、変化球で常に1つストライクが取れるようにしておくことですね。

 長いシーズンを戦えば、真ん中のフォークみたいな投げミスは絶対に出てくるので、それは少なければ少ないほうがいいに決まっています。ただ、大谷に関しては、いい結果が出ないほうがおかしいと思います。よほど『ストライクが入らない』とかではない限り。ストライクを投げなければいけないカウントでストライクを投げる。ボールを投げなければいけないカウントでボールを投げる。それさえ出来れば(大丈夫)、というところだと思うんです」

 野口氏は「投手・大谷」をこう絶賛した上で、対照的に「打者・大谷」については、2015年の結果球の球種別成績、ヒートマップ(コース別打撃成績)を見ながら厳しい見解を並べた。

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