今季もセ・パで新指揮官誕生 出身ポジション別で見る監督采配の違いとは

投手出身監督の2つのパターン、「頑張ってしまうタイプ」の危険性

 2016年、セ・リーグでは高橋由伸(巨人)、金本知憲(阪神)、アレックス・ラミレス(DeNA)と3人の新監督が誕生。一時代前のスター選手たちの指揮官就任で、球界に新しい風が吹き込むことになりそうだ。パ・リーグでは、梨田昌孝監督(楽天)が日本ハム時代以来、5年ぶりに采配を振るい、オリックスの福良淳一監督は監督代行から正式に1軍指揮官に昇格した。

 セ・リーグの新監督3人はいずれも外野手出身で、今季は捕手出身の谷繁元信監督(中日)を除いた全員が外野手出身監督となる。パ・リーグは栗山英樹監督(日本ハム)が外野手出身、田辺徳雄監督(西武)と福良監督が内野手出身、梨田監督と伊藤勤監督(ロッテ)が捕手出身。そして、工藤公康監督(ソフトバンク)は12球団唯一の投手出身監督ということになる。

 現状では野手出身監督が多いプロ野球だが、昨年頂点に立ったのはかつての名投手・工藤監督が率いるソフトバンクだった。采配、起用の決定権を持つ監督という役職は、現役時代にプレーしたポジションに影響を受けるのか。ヤクルトで野村克也氏、日本ハムで上田利治氏と大島康徳氏、阪神で星野仙一氏と岡田彰布氏、横浜で大矢明彦氏と尾花高夫氏と4球団7監督の元でプレーした経験を持つ捕手出身の野口寿浩氏に分析してもらった。

「投手出身の監督の方は『攻撃を頑張ろうとするタイプ』と、『全て任せてしまうタイプ』の2通りに分かれると思うんですよ。『頑張ってしまうタイプ』は若干、危険な気がします」

 野口氏はまず、投手出身監督に起こりうる危険性の1つを指摘した。

「例えば『ここでエンドランは嫌だな』というところでエンドランを仕掛けたりするのは、ちょっと苦手なのではないでしょうか。『自分が投げていた時に、この作戦をここでやられたら嫌だな』という考え方をしてくれればいいんですよ。だけど、『一般論としてここはこうすべきだな』とされてしまうと、相手も例えばエンドランだったら外しやすいですよね。(投手出身監督は)“奇襲”というのが、なかなかかけづらいと思うんです」

 投手出身監督は現役時代、「点を与えない」という意識で試合に臨む。そのため、攻撃に対する意識は薄い。「攻撃面では野手の方が『自分の経験上、こうしたら面白いかな』というのはわかりやすいと思うんです」と推測する。

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