サバイバル、取材、練習量…メジャーキャンプは日本とどう違う?

共通点もあるが、さまざまな点で大きく異なる日米のキャンプ

 日本のキャンプでは、かつてのOBがキャンプ地を訪れ、若手を指導するシーンなどが多く見受けられるが、この点においてはメジャーのキャンプでも同じようなシーンは多い。

 メジャーキャンプ期間中、特別コーチとしてOBや歴代監督などが訪れることも多く、現役選手がレジェンドから指導を受ける場面はよく見られる。実力社会の要素が強く、先輩の教えを受けるという文化はアメリカでは少ないと思われるかもしれないが、意外にも日米で共通している。

 では、日米のキャンプで一番差があると思われているのは何か。それはおそらく、練習量だろう。確かに日本に比べ、メジャーのキャンプは早く終わる。しかし、その分、朝はとても早い。練習の2時間前以上には施設入りして、準備を怠らない。トレーニングルームは人で溢れかえっている。

 さらに各ポジションに合わせてトレーニングメニューも決められており、練習前にそれをこなす選手もいれば、ストレッチやメンテナンスに時間を費やす者などさまざま。そのため、選手の体のケアをするトレーナー陣の一日は陽が昇る前から始まる。その後シーズンが開幕してから夜型生活が始まるときには、少々時差ボケ状態に陥ってしまうぐらいだ。

 また、日本では2月1日からキャンプイン、紅白戦を経て、3月からのオープン戦に備えていく。一方、メジャーでは今年のニューヨーク・ヤンキースを例に挙げてみると、投手と捕手は2月19日から日本で言う「キャンプイン」で、野手にいたってはそれが2月25日からだ。そこから1週間も経たない3月2日からオープン戦が始まっていく。

 投手陣は肩を作ることを考慮されて野手よりは早めに集まるが、打者にとっては実戦を通して準備していくという考え方だ。実戦までの期間が少ない分、それぞれに責任ある準備が求められる。

 さらに、日本ではキャンプ中は1つの宿舎にチーム全体が泊まり、夕食後にミーティングをおこない綿密にシーズンに向けてチーム一丸となり準備をする。対照的に、メジャーのキャンプはそれぞれが自由に住まいを設けて、家族揃ってのキャンプを過ごす選手、スタッフが多い。これも文化の違いと言えばそれまでだが、米国では移動も多い長いシーズンに向けてオンとオフをしっかり定めた上でシーズンの戦いに向けて準備する。

「日米のスタイルどちらが良いのか?」という質問に答えはなく、文化に合った準備の仕方をそれぞれ取っている。しかしその違いは大きく、日本に来る外国人選手、そしてメジャーに挑戦する日本人選手が違いに戸惑うのも理解できる。

 今年は北海道日本ハムファイターズが29年ぶりに米国でのキャンプを開催している。米国の地で日本流のキャンプを行った北海道日本ハムが何を持ち帰り、今後の日本流キャンプにどんな新しい風を吹かせてくれるのか楽しみだ。

(記事提供:パ・リーグ インサイト

【了】

新川諒●文

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