台湾代表がマウンドで輪に― 侍Jとの一戦で3年ぶりに浮かび上がった光景

台湾代表が再び示した日本と野球への感謝

 5日に侍ジャパンと強化試合を行った台湾代表は、侍戦士5投手の前に2安打無得点と封じられ、敗戦した。台湾プロ野球のラミゴモンキーズの選手らを集め、トップチームを形成したが力負け。しかし試合後の光景は、日本のファンの心に再び刻まれることになりそうだ。

 試合終了後、満員のナゴヤドームのスタンドは歓喜に沸いていた。ヒーローインタビューの準備が進められる。そんな中、台湾ナインはベンチを出てマウンドへと歩んでいった。

 そして輪になってスタンドへ一礼。日本の健闘を称えるとともに、スタンドのファンに感謝したのだった。

 これは「台湾のスポーツマンシップ」を示す行為と言える。2013年3月に行われた第3回WBC2次ラウンドの日本-台湾戦でも同様の光景が見られた。日本は1点を追う9回2アウトから井端弘和(現巨人コーチ)の同点打で追いつき、延長戦の末、4-3と逆転勝利。台湾にとってみれば悔しい敗戦だったが、日本が歓喜に沸く中、静かにマウンドで輪になって、一礼した。

 当時の台湾の監督は「ファンへの感謝を示したかったから」と説明していた。またこの時はスタンドの中に、台湾からの東日本大震災の義援金への感謝を伝えるボードを持っているファンもいた。WBCはメディアの注目も多いため、SNSで義援金への感謝を伝えようといった趣旨のメッセージが拡散された背景もあった。

 日本と台湾ではスポーツを通じて友好関係が築かれており、この日の台湾ナインの“儀式”も自然なものと言える。多くのファンが心を打たれるシーンとなったに違いない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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