球界最年長野手になってもハードトレ 井口資仁を奮い立たせた王氏の言葉

思い描いてきたベテラン像、「そんな姿を絶対に見せたくないと思っていた」

「いろいろな意味で見本とならないといけない。ランニングひとつとっても、オレがすることで、若手はもっとしないといけない。そういう姿勢を見せる事も大事だと思っている。そういう意味でもしっかりと動けるように準備をすることが大切となる」

 若い選手たちは自分の背中を見ている。それを誰よりも理解しているからこそ、日ごろの鍛錬を怠らない。妥協を許さず、何事にも全力で取り組む。それは自分が若い頃に感じた教訓でもある。

「ベテランで動けない人、動かない人がいた。オレはそんな姿を同じぐらいの年になった時に絶対に見せたくないと思っていた」

 ベテランだからと、あぐらをかくつもりは毛頭ない。ベテランだからこそ率先して練習をする。その姿こそが若い選手を引っ張り、チーム力の底上げになると思う。だから、自主トレでも、春季キャンプでも誰よりも早く球場入りをして練習を重ねた。

 97年にデビューし華やかに実績を積み重ねてきた。順風満帆な野球人生のように思われがちだが、決してそうではない。

「途中、自分の打撃を見失い、打ち方が分からなくなった事もある」

 井口が振り返るように打撃でもっとも悩みが深かったのは00年。左肩も負傷し手術をするなど、わずか54試合の出場にとどまった。そんな時、キッカケを与えてくれたのが当時在籍していた福岡ダイエーホークスの王貞治監督の一言だった。

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