知られざる裏方の存在 選手を支えるプロフェショナルたち

メジャーでは広報部長が打撃投手を兼任することも!?

 プロ野球チームには選手、監督、コーチだけでなく、数多くの裏方スタッフが所属し、チームを支えている。時には観客の目にも入るブルペンキャッチャーから、負傷者が出たときにベンチから飛び出てくるトレーナーまで、舞台裏では多くの人間が選手を支えている。

 選手の体を最高の状態に保つために治療やメンテナンスをするトレーナー、マッサージ師、理学療法士。さらには選手のコンディショニングをサポートするトレーニングコーチ。球団によるが栄養士、メンタルコーチを抱えるチームもあるだろう。そして選手、コーチ陣がグラウンドで不自由なく「仕事」に集中できる環境を作るマネージャーや用具係。選手たちが試合で実力を発揮するために準備を支える打撃投手。さらには次の対戦相手を分析する先乗りスカウトたち。データや映像を管理するビデオ・コーディネーター。そして外国人選手を支える通訳やメディアの窓口となる広報。数多くの人間がスタッフとして関わり、チームと行動を共にしてグラウンドでプレーする選手たちを支えている。

 米国でも知られざる裏方は数多く存在するが、比較的日本の現場とは大きく違いはなく、細かい役割や役職が違うが根本的には似たような仕事が多数存在していると思う。日米で共通していると思うが、裏方は自身の役職だけでは表現できないほど、さまざまな業務を兼任している場合が多い。

 日米で1つ大きな違いと言えば、米国では打撃投手という役職はなく、コーチ陣がその役割を兼任していることだろう。あるチームでは、コーチ陣だけでは左利きで投げられる人間が足らず、対戦相手が左先発投手の場合のみ、臨時のコーチ補佐として地元の大学コーチが来ていたこともあった。私がインターンをさせて頂いたクリーブランド・インディアンズでは、なんと広報部長が打撃投手を兼任していた。コーチ陣も日々役割を分担し、1人に負担が掛かり過ぎないよう、スケジュールを立ててシーズンを送っている。

 ブルペンキャッチャーもチームによっては1人しかいないため、試合中2人の投手が同時に投球練習を始めるときには、別のスタッフがブルペンで投球を受ける場面もあった。ブルペンキャッチャーはキャンプから投手の投球を受け続け、毎朝投手が投球用に使う新球をメジャー特有の泥で磨く作業を担っており、シーズン中チームのために働き続ける。

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