開幕3連戦で前売り完売を記録 なぜ西武は観客動員を伸ばせているのか?
「フレンドリーシティ」連携の拡大による「地域住民」の愛着度向上
さらに、開幕シリーズの大盛況の要因として、もうひとつのことが挙げられる。ファン底辺のさらなる拡大を目指して、ライオンズは昨年3月から「フレンドリーシティ」という自治体と連携した制度を開始した。これは西武プリンスドームの近隣市町村と協定を締結し、お互いが持っている資源を生かし、球団と自治体が協働して様々な事業に取り組むことを通じて、地域社会の発展、住民福祉の向上に寄与することを目的とした制度だ。
ライオンズはパ・リーグで唯一、本拠地が県庁所在地以外にある球団であり、本拠地を置く所沢市の人口は約34万人。これはパ・リーグ6球団が本拠地を置く都市人口1位の大阪市(オリックス・バファローズ)269万人の1/8程度、5位の千葉市(千葉ロッテマリーンズ)97万人と比較しても1/3程度にしか満たない数字だ。
フレンドリーシティ制度を導入した理由としては、地域住民にライオンズをより身近に感じてもらえる環境を整備することにより、そのマーケットを拡大することだと考えられる。制度導入からわずか1年程度で13市1町と協定を締結し、急ピッチでそのエリアを拡大している。フレンドリーシティ14市町の人口を合わせると約189万人。これはファイターズが本拠地を置く札幌市(195万人)に匹敵するマーケットとなる。
ライオンズのフレンドリーシティ市町では、制度導入以降、市役所に「○○市は埼玉西武ライオンズを応援しています」という横断幕が掲げられたり、商店街にチームのロゴが入ったタペストリーが飾られたりするなど、ライオンズ色が街中にあふれてきた。シーズンオフには現役選手が地域イベントへ参加し、シーズン中にはOB選手、マスコットのレオ・ライナ、公式ダンスパフォーマー「bluelegends」が幼稚園、小学校、高齢者福祉施設などを積極的に訪問。地域住民との交流を図っている。
こういった活動を通してライオンズとの接点が多くなった地域の人々は、今まで以上にチームへの愛着が増してきたであろう。結果としてここでも、炭谷選手から発されたメッセージに心を動かされ、西武プリンスドームへ足を運ぶきっかけにつながったのではないだろうか。
2008年以来、優勝から遠ざかっている埼玉西武ライオンズ。今まで以上に帰属意識を増したロイヤルファンに加え、新たにフレンドリーシティ連携によってチームへの愛着を増した地域住民と共に、8年ぶりの日本一へ向けた快進撃を目指す。今年のライオンズから目が離せない。
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(記事提供:パ・リーグ インサイト)
「パ・リーグ インサイト」編集部●文