ベテランの存在感、松井稼頭央が秘める思い 「もう1度ビールかけを」
周囲のムードを高める一面も、「何か面白いこと言ってこい」
その2013年、遊撃手としてリーグ優勝、日本一に貢献した。西武時代から走攻守のスペシャリスト。三遊間を抜けそうな打球をバックハンドで捕球し、ジャンプしながら体を反転。バスケットのシュートのように一塁へ山なりのボールを送ってアウトを取る、アクロバティックなプレーは幾度となくテレビやインターネットでも取り上げられた。
だが体への負担が大きいのも遊撃手の宿命。2014年終盤、若手の台頭もあり、外野手として試合に出はじめると、そのオフの契約更改で「来年は外野手一本でと(球団に)言いました」と明かした。数々の実績を残してきた内野手の道をキッパリと捨て、不惑を目前に新たな挑戦。過酷な道のりにも見えたが若手にポジションを奪われることはなく昨年1年間を戦い抜き、日本通算2000本安打も達成した。
周囲に多くを語るタイプではないが、新加入した今江がお立ち台に選ばれたときには「何か面白いこと言ってこい」と背中を押すなど、年下選手をいじってムードを高める。この日、本塁打を打った直後のベンチは、満面の笑みで祝福するナインの姿。後輩選手も、松井稼の一発を待ちわびていたようだ。
残念ながら試合は敗戦。今季初めてカードを負け越し、3位のソフトバンクに0・5ゲーム差と迫られた。だがこのまま食らいつくためにも、大ベテランの働きは不可欠。18打席目の一発は、敗戦の中に見えた光でもあった。
(記事提供:パ・リーグ インサイト)
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パ・リーグ インサイト編集部●文