ついに70歳の打撃投手誕生 ロッテ池田寮長はなぜ投げ続けられるのか

若手投手から手渡された地酒、「次に飲むのはオマエが5勝する時」

 今季、寮生でプロ3年目の二木康太投手が5月2日現在で先発として2勝を挙げている。入団した頃は体が細く、弱々しく見えた若者が毎日、寮でしっかりと食事をとり、努力を積み重ねたことで今、マリーンズの注目選手となっている。池田寮長はプロ初勝利後、二木が寮に戻ってくるのを待って祝杯を上げようと考えた。

 しかし、なかなか帰ってこない。やっと戻ってきたかと思うと二木は、手に入れることが困難と言われる自身の地元・鹿児島の地酒を抱えていた。

「ありがとうございました」と渡された時、嬉しさがこみ上げてきた。少しだけ飲んで、棚に置いた。「次に飲むのはオマエが5勝する時。それまで取って置くよ」とニッコリと笑った。

 今まで関わってきた寮生は100人を超える。その一人ひとりの人生を気にしている。野球界で活躍をするもの、違う世界で頑張っている人。とにかく若者たちが、社会において輝いてくれることを願う。

 今年も暑い季節がやってきた。寮長兼打撃投手として、いつものように投げ、見守り続ける。すべての原動力となっているのは若者のキラキラと輝く未来。一人でも多くの笑顔を見るため、池田氏は今日も元気にグラウンドに向う。

(記事提供:パ・リーグ インサイト

【了】

マリーンズ球団広報 梶原紀章●文 text by Noriaki Kajiwara

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