未踏の地をいくナックル姫・吉田えりが抱く夢「すごい道を選んでしまった」

ナックルボーラー吉田えりの今、「ナックルって本当に奥が深い」

 男子と同じリーグでプレーする初の女子プロ野球選手でもある、BCリーグ石川ミリオンスターズの吉田えり選手。打者はもちろん投げた本人ですら、どんな変化をするか分からない魔球=ナックルボールを武器に、NPBでプレーすることを目標に奮闘の毎日を続ける。

 18歳でアメリカの独立リーグでプレーするなど、日本の女子野球選手として前人未踏の分野を切り拓き続ける24歳。今年9月に行われる女子野球ワールドカップの日本代表候補にも選ばれている吉田選手に、アメリカでの経験やナックルボールの魅力について聞いてみた。

――日本の独立リーグで男子と一緒にプレーする日々ですが、現在所属するBCリーグ石川ミリオンスターズはどんなチームですか?

「今年で実質4年目なんですけど、1年で所属選手が半分くらい入れ替わるんですよ。だから、毎年チームの色や雰囲気は違いますね。今年は調子がいいですし、団結力がすごくある。今まで円陣組んで試合前に声出すことはなかったんですけど、今年はやってるんですよ。今年は違うなって感じがありますね。勝っているとチームの雰囲気も変わりますし」

――地元のファンも温かく応援してくれるそうですね。先日は、獲れたての魚をいただいたとか。

「そうなんです(笑)。『ああ、えりちゃんや。お魚あげるから食べて』って1匹丸々いただいちゃいました。ビックリしましたけど(笑)」

――(笑)、この石川でプレーする前は、いろいろな経験を積まれました。2010年から4年間アメリカの独立リーグに挑戦しましたが、その時の経験は今、どうに生きていますか?

「アメリカでは、野球を続けていく厳しさを教えてもらいました。日本では17歳の時に一度独立リーグに入団して1年プレーしました。日本の独立リーグは、金土日に試合があって、平日は練習。ほぼ1年間契約期間があって『よし1年間このチームで頑張ろう』ってプレーできる。でも、アメリカでは、それこそキャンプでクビになることもあって、本当に入れ替わりが激しかった。

 最初に契約したチコ・アウトローズでは、キャンプ中に球場までの行き帰りを一緒に車に乗せてくれたり、すごくお世話になっていた選手が、朝急に荷物まとめて出て行っちゃったんですよ。『あれ、今から練習だよ』って言ったら、『もうクビになったから』って。『えっ?』みたいな。一生懸命頑張っていたのに、その後ろ姿を見たら悲しくなったし、厳しい世界に来てしまったなって思いました。本当に1日1日が勝負で、みんながハングリーに戦っているのをアメリカで感じた。それは今でもつながっていますね」

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