パ・リーグもメジャーも進める海外進出

英語とスペイン語が飛び交うメジャーは、人種のるつぼ・米国の縮図

 マイナーリーグの現場にいたこともあるが、アメリカにいるのかスペイン語圏の国にいるのか分からなくなってしまうほど、ロッカーではスペイン語が飛び交う。よく米国は人種・文化などの様々な異なった要素が融合・同化されている国として「Meltin Pot(メルティング・ポット。直訳すると、るつぼ)」という表現されるが、それを凝縮しているのが野球界でもある。

 ちなみに、2016年シーズン開幕前にはメジャーリーグ機構が各球団にスペイン語通訳を雇用することをルール化した。日本人選手にはメジャー契約を結んだ場合は必ずと言っていいほど通訳が付いているが、これまではスペイン語圏の選手には、ほとんどの場合、指定された通訳は存在していなかった。各球団にスペイン語を喋る選手・コーチが多いため、必要性を感じていなかったようだが、メディア対応なども含めて通訳が必要という現場での訴えをリーグ側が汲み取り、新ルール導入となった。

 島国である日本とアメリカの歴史を比較すれば、居住する人種に大きな差があるのは仕方がないことだろう。それでも多くの日本企業は海外へ進出を遂げており、野球大国の一つと言われる日本もさまざまな海外進出への活動を広げていくことで、さらなる可能性が広がるはずだ。

 実際、千葉ロッテマリーンズで2002年から5年連続2桁勝利をマークし、アテネ五輪、そして第1回WBCにも日本代表の一員としてプレーした清水直行氏は、現在、ニュージーランド野球連盟ゼネラルマネージャー補佐、そして同国の代表統括コーチを務めている。

 メジャーの世界進出のスピードは緩まることはないだろうが、パ・リーグの台湾での活動、そして元選手たちが海外でプロ野球の輪を広げる取り組みを続けていくことで、日本のプロ野球を目指したいと思う子供たちも育てていくことが、今後のリーグ発展にも繋がるのではないだろうか。

(記事提供:パ・リーグ インサイト

「パ・リーグ インサイト」新川諒●文

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