球界一の遊撃手へ―　ホークス今宮が見せる著しい成長

ヤクルトの勢いを断ち切った今宮の守備

　2死二塁。大引啓次が放った打球は三遊間へのゴロ。これを背番号2は、頭からダイビングし、抜ける寸前のところでキャッチした。結果は内野安打となったが、このダイビングキャッチが大きな意味を持つ。

　場面は2死。打った瞬間に打者はスタートを切る。打球は決して速い当たりではなかった。今季から採用されているコリジョンルールもあり、抜けていれば、1点は確実だった。1点差と2点差は大きな違い。押せ押せムードのヤクルトを、さらに勢い付かせかねなかった。それを防いだ守備。窮地に立たされていた山田にとっても大きかったに違いない。

　広い守備範囲や、高校時代に最速154キロを誇った強肩など、華やかなプレーも見せる今宮。だが、記録に残らない中でも、チームを助ける働きをこなす。小技をこなせることは言うまでもない。これに、開花の時を迎える打力が備われば、右に出る遊撃手はいないだろう。

【了】

フルカウント編集部●文　text by Full-Count