01年マ軍監督が語るイチロー1年目と今 足跡は「奇跡のように素晴らしい」

「彼のストレッチはまったく別の次元にある。彼が長くプレーしている要因の一つだろう」

――でも、走者が得点圏にいるときは敬遠されることもあるのでは?

「特に、得点圏に走者がいる時は、みんな分かっている。えっと、あの年は何本ヒットを打ったんだ?230?240?とにかく200何本かだな(笑)。だったら、彼を敬遠する気持ちも分かる。彼は安打製造機だった」

――彼は足を木の棒でマッサージしたり、打席に入る前にストレッチするが、最初にルーティンを見た時どう思ったか?

「それまで見たことがなかった。正直なところ。彼がすることには、かなり驚かされた。特にストレッチに関しては。アメリカでは、スプリングトレーニングでは長い時間をかけてストレッチすることがあるが、シーズンが始まればみんなでストレッチの時間が少しあるだけ。彼のストレッチはまったく別の次元にある。彼はそれに対して異常なまでに熱心だった。おそらく彼が42歳までプレーできている理由の1つだろう。もちろん、彼は余分なものがついていないアスリート体型をしているが、心身の面から見ても、(ストレッチは)彼が長くプレーしている要因の一つだろう」

――マーリンズの1年目やヤンキースでは衰えも見えたが、どう見ていたか?

「言わせてもらえば、35歳を超えてプレーし続ける選手は非常に稀。そこ(35歳)が分かれるライン。年を重ねて(年寄りで)プレーすることは、非常に難しいこと。私も41歳までプレーしたが、36歳とか37歳になった頃には、私はもうレギュラーじゃなかった。とても難しいこと。ピッチャーたちは若く、より速い球を投げるようになるし、自分の身体は年を取る。だから、(イチローの今季活躍について)非常に驚いている。

 彼はペースについていくことができている。生産性ということに関しては、彼は(その技術を)日本から持ってきた。どんな偉大なる選手でも衰えは出てくる。バットスピードが落ちる。気持ちは以前よりも若いつもりでも、身体が同じように反応しない。だから、驚くべきこと。彼はまだ頑張っている。素晴らしいキャリアを送っている。野球にとって素晴らしいアンバサダー。これは本当に、本当にいいストーリー」

 イチローが鮮烈なデビューを飾ってから、今年で16年目。当時と変わらない輝きを放つ背番号51の姿を見て、ピネラ氏も心を踊らせているようだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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