【日米大学野球】勝利か、球数管理か 1、2戦の投手起用で顕著に現れた日米の野球観の違い
米代表ホートン監督、2連敗に渋い表情も「事前に投げるイニング数が決まっている」
試合後、ファエド降板のタイミングについて質問を受けた米国代表のホートン監督は、「彼の調子うんぬんではなく、最初から決められていたスケジュールに沿っただけ」と説明。「我々は長いシーズンを戦い終えたばかりで、ファエドは昨年62イニング投げ、今年は105イニング投げている。彼の大学(フロリダ大)の監督から投球回数について指示も来ている。ファエドだけではなく、他の投手も全員、事前に投げるイニング数が決まっているので、それを実施するだけ。これがアメリカ流です」と続けた。その横に座ったファエドも「当然のこと」と言わんばかりに大きくうなずきながら、監督のコメントを聞いていた。
メジャーでは、先発投手の球数を100球前後で管理していることは、日本でもすでに広く知られていることだが、リトルリーグ、ボーイズリーグ、高校、大学と、各世代ですでに球数制限は始まっている。試合の勝敗も大事だが、それはしっかり選手を管理した後から付いてくるもの。特に、プロにより近くなる大学レベルでは、わずかな怪我や登板過多がドラフト順位や契約金に大きく響くため、非常に慎重な扱いになる。もちろん、日本代表にも多少なりとも起用法に制限はあるだろうが、機械的に選手を入れ替え、采配の機微を生かせない状態にはない。
選手を怪我なくアメリカへ連れて帰ることが第一の使命だとはいえ、2連敗した後のホートン監督は苦虫をかみつぶしたような顔をしていた。もちろん、打線が連日12奪三振に斬ってとられた屈辱もあるだろうが、選手を自由に使えないもどかしさや鬱憤もあったのではないか。
日米どちらの起用法が正しいとは言えないが、それぞれが違った条件、違ったモチベーションで、同じ大会に臨んでいる様子が垣間見える場面だった。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count