オリックス元助っ人たちが明かすルーキー時代のイチロー

2ストライクからスイングの真っ只中で動作を停止「あんなの見たことがない」

 この時、同僚だったのがゲイニー氏だ。登録名は「タイゲイニー」。ロッカーの2つ隣にイチローがいたというゲイニー氏は、その類い稀なる打撃センスに度肝を抜かれたという。ある日のこと、打席に立った背番号51は、2ストライクからバットを振りにいったそうだ。だが、途中で振るべきではないと気付き、スイングの真っ只中でピタリと動作を止めてしまったという。「あんなの見たことがないし、どうやった人間の為せる業たるのか、未だに理解できない」と首を傾げたそうだ。

 居ても立っても居られず、イチロー本人に「どうやったら、あんなことができるんだ」と聞いたゲイニー氏に、こんな答えが返ってきたという。

「僕は自分をよく知っていますから。自分のスイングを知っていますし、自分のスイングが狂っている時もすぐに分かる」

 さらに、記事では成人間もない若い頃から、イチローがアメリカ文化に傾倒していたことも紹介。当時からイチローは「Whassup, homie(よ、元気)?」というストリート系のスラングを使って、ゲイニー氏ら助っ人外国人選手と交流を図っていたそうだ。メジャーに移籍後16年経った今でも使うこのフレーズは一体どこで覚えたのか? ゲイニー氏は「間違いなく教えたのはオレだね」と誇らしげに話したそうだ。

 弱冠20歳の頃から自らのスイングを熟知し、アメリカ的感覚を取り入れていた背番号51。史上30人目の偉業と達成したベテランの知られざる若き日のエピソードに触れ、アメリカのファンたちは、より一層親近感を沸くことになっただろう。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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