雨のち涙の引退試合 Aロッド、最後も華々しく

三塁ベース付近の土をかき集めてポケットに、「色んなことを思い出した」

「チームが6点を取っていて点差があったから」というジラルディ監督からのサプライズ。打者一人の間だけと短い時間だったが守備に就き、抑えのベタンセスが三振を奪った後には内野のボール回しを軽快にこなした。グラウンドを去る際にはチームメートから出迎えを受けた。三塁での先発出場を監督に打診しながら「ノー」と言われていたベテランは、ベンチに戻るとタオルで涙をぬぐった。

 チームの勝利をベンチで見届けると、チームメートと勝利の握手を交した。その後、再び三塁ベース付近に歩き、高校球児のように土をかきあつめてポケットに入れた。強打の遊撃手として地位を確立しながらも2004年にヤンキース移籍後、三塁へのコンバートを受け入れた。堅守としてならした思い出の場所に再び立つと、様々な記憶が蘇ってきた。

「きょう一番の思い出は、サードを再び守れたことだ。ヤンキースに来てからショートからサードにコンバートされたが、とても難しい挑戦だった。色んなことを思い出した。三塁手としてチャンピオンにもなれたので記念に残しておきたかった」

 ジラルディ監督は「この1週間はとてもタフだった。これが彼にとって最後の試合。ヤンキースで非常に大きな貢献をしてきた。2009年にワールドシリーズを制覇できたのは、彼のお陰だった。だからこそ、生涯忘れることのない形で送り出したかった」。勝利を第一に考える指揮官は揺れていた胸の内を明かすと、涙をこらえきれなかった。

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY