日米の野球場で女性イベントに大きな差はなし では、現場の女性進出は?

米国では女性審判や女性解説者も誕生

 SNS上で一番女性ファンが多いと分析データが出ているレンジャースは、女性をターゲットにしたイベントをいくつか企画している。そのうちの1つが「フィールド・オブ・ファッション」。主に母の日をターゲットに行われるイベントだ。参加者はファッションショーやワインテイスティングを楽しみ、選手を支える奥さんたちへの質疑応答の時間が設けられる。その他にも、男性ファンも含めたイベントとして、野球知識を楽しく学ぶ機会となる「ベースボール101」の授業やスコアの付け方を学ぶ「スコアキーピング」なども開催している。

 印象としては、女性を巻き込んだ日米の企画にそれほど大きな差は見られなくなったのではないだろうか。だが、野球の現場での女性進出に関しては、まだまだ米国に遅れている印象はある。

 メジャーリーグの舞台にはまだ到達していないが、マイナーリーグでは今夏、2007年以来となる7人目の女性審判が誕生した。2012年にはドジャースが四大スポーツでは初となる女性ヘッドトレーナーを雇用。さらに昨年、アスレチックスが教育リーグ期間中だけではあったが、女性コーチを雇用した初のメジャーリーグ球団となった。フロント側での女性の活躍は目覚ましいが、少しずつ現場レベルでもその存在は増えつつある。

 そして、メディア側でも変化はある。ESPNでは、今季から日曜夜に中継される全米放送の「サンデーナイト・ベースボール」のアナリスト解説を元女子ソフトボール選手のジェシカ・メンドーサが務めている。日本のスポーツ中継では、放送席から試合を語る役割を持つ女性の存在はほぼいないのでないだろうか。

 日本各地、さまざまな分野で女性の活躍が目覚ましいが、それでもスポーツの現場ではまだまだ少ないのが現状である。女性ファンを対象にしたイベントや企画は各地で開催されているが、今後は球団やリーグ、そしてスポーツ界全体で、本当の意味でも女性に平等な環境を作り出していくことが新たな一歩となるのではないだろうか。

(記事提供:パ・リーグ インサイト

【了】

新川諒●文

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY