困ったら原点へ DeNA三浦、25年の現役生活の支えとなった恩師の金言

小谷氏と作り上げた投球フォームとコントロール

 高校までは”お山の大将”でやってきた三浦だったが、そうプロは甘いものではなかった。小谷氏から現実を突きつけられた。「オマエさんは、何しにプロに来たのか?」。目いっぱいの力で速いボールを投げようとする若者に静かに言った。大魔神・佐々木主浩にはフォークを教え、盛田幸妃には理にかなったフォームを指導し、球界を代表するリリーバーに育てた小谷コーチは、三浦の指導にも時間をかけていた。三浦も必死についていった。

 三浦には球速や力では勝てないと判断し、「コントロールを磨きなさい」と指導を開始した。ケガがちだった体(特に首)は自分に合った投球フォームで投げてないからと見極め、改良させた。リリースに入る前にしっかりと上体を起こして、主に狙いを定めるための間を作るために、足を2度ためるように上げるフォームを作りあげた。『トントン』とためるうちに無駄な力が抜け、体への負担は減った。コントロールも次第によくなった。三浦の代名詞であるコントロールと投球フォームの定着は小谷氏の指導の賜物だった。時間があれば、三浦は小谷氏の自宅などに行って、野球のアドバイスを受けてきた。

 自分が勝つために、長く野球をやるためにはどうすべきか。走り込んで下半身を作ること。コントロールを磨くこと。自分の持ち味は何なのかを考え、 三浦の出した答えは18歳の時から変わらなかった。

 25年前から師匠と慕う恩師の最初のアドバイスをずっと守り抜いた現役生活だったといっていい。恩師ほど偉大なコーチになれるかは分からない。だが、これまで背中で見せてきたように、若手を育成し、第2の三浦が誕生することを待ちたい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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