ロッテ時代は制球難で「自滅」 米国で復活した左腕はなぜ課題克服できた?

日米の教えの違い、「アメリカのピッチングコーチはフォームはいじらない」

――日本のマウンドで苦しんでいたことが、アメリカでは出なかった。

「そうですね。ある程度いいところに制球できたんです。際どいコースも多かったですし、『ここがボールか』という感じもありました。外角の真っ直ぐの出し入れができたというか。甘く投げたり、厳しいボールは厳しくいったり。それでカウントを整えていたんで、それが一番大きかったかなと思います」

――手首が寝ているとか、肘が下がっている、という話は日本時代にも言われたことはありましたか?

「この頭なのであまり記憶はないんですけど、よく言われたのは、横投げなので『体を振るな』ということでした。膝の開きが早いとか、全体のことを言われました。その中にも、肘を上げろ、というのはあったと思います。よくあるのは、日本では『耳にボールを近づけろ』と言われるんですけど、それが『手首を立てろ』ということだったのかなと。僕が理解できていなかったのかなとは思います」

――最高のタイミングでピッチングコーチのアドバイスがありましたね?

「アメリカのピッチングコーチは、フォームはいじらないんですよ。もちろん、向こうでビデオを見るんですけど『それを見て自分には何が足りないのかを参考にしろ』と言うんです。『もっと体の使い方をこうしろ』とかではないんです。部分、部分の基礎を教えるだけなんです。僕の場合だったら、『(投げる直前の)右手のグラブの位置が低い。低いところから引くから、左手が離れるんだ。そこをもうちょっと高くしてみろ』と言われました。ただ、少し高くしても、実際には全然高くなってない。だから『ピッチングの時は何も考えるな。キャッチボールの時だけ、思い切り上を意識しろ』と。『そうすると左手が上から出てきて、肘も上がってくる』と言われたんです。

 僕が言われたのは、右手と肘と手首なんです。『順番に意識していけ』と言われたんです。『手首がおかしいなと思ったら、肘を上げろ。肘が上がったら手首を意識しろ。それでもダメだったら、ボールに聞け』と(笑)。『それでも調子の悪い時もあるんだから、その時は自分の一番のストライク取れる球で勝負しろ』と言われるんです。僕が言われたことはそれだけでした」

――アメリカで課題が克服された?

「いや、まだ克服されてないですよ。まだ発展途上です」

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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