現役続行か引退か、悩む楽天生え抜き外野手 戦力外通告に親友が発した言葉

「9番・中堅」で放った本塁打、スコアボードに並んだ名前


楽天・牧田の見事なタイムリーヒット(2015/9/1)【動画:パ・リーグTV】

 世に牧田という名前が一番広まったのは2013年11月3日、巨人との日本シリーズ第7戦だろう。4回の第2打席で澤村投手から左中間へソロ本塁打を放った。この試合、先発の杉内投手に対して、右打者の中島俊哉外野手、そして牧田のスタメン出場が決まった。左腕対策として抜てきされた牧田だったが、序盤に杉内が降板し、右腕の澤村に代わっても退くことはなかった。そして生まれたホームラン。スライダーをすくい上げ、美しい放物線を描いてスタンドへ届いた。

 実は試合前、田代富雄打撃コーチ(当時)はおとなしい牧田の性格を鑑みて、プレッシャーの少ない「9番・中堅」という案を星野仙一監督に提出した。長打が魅力の男の9番起用。「僕も9番は記憶にないし、ビックリでした」。だがこれが思わぬ副産物をもたらす。9回に、大エースだった田中将大投手が抑えとして登板し、最後を締めた。前日、160球を投げ抜いた男の連投は伝説として語り継がれている。現在も幾度となくテレビ等で流される、スコアボードに田中の名前が点灯するシーン。すぐ上には「牧田」の名前が。「胸を張っていいのかどうかわかりませんが、結果的に名前が残りましたね」と笑った。

 これで、球団創設時を知る選手はチームにいなくなる。ユニホームも完成していない状態で始まった春のキャンプ。まさにドタバタの連続だった。「あの当時のこと、ですか。いろいろありすぎましたからね。今じゃ考えられないようなことが」と回想しつつ、ふと思い出したように続けた。

「僕は最初のうちは2軍暮らしだったんですが、当時の2軍は練習も試合も山形だったんです。あの時はチームバスもまだなくて、みんな各自で移動ですよ。夏くらいに、遠征のバスが出るようにはなりましたが」

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