現役続行か引退か、悩む楽天生え抜き外野手 戦力外通告に親友が発した言葉

鉄平からの言葉、「だから悩みますよね」

 現在は2軍の練習場は仙台市の泉区。球団事務所のあるKoboスタ宮城からは車で30分ほどだが、車で2時間弱の距離を、それぞれで通っていたという。「当時はお金もそんなに持っていなかったし、ガソリン代もバカにならない」。そんな若かりし頃の“救世主”が仙台~山形間を走る高速バスだった。「1000円くらいで行ける(片道930円、現在)のでそれに乗って球場に行ったりもしていました」と苦笑したが、ムキムキのプロ野球選手が大きいバッグを携えながら公共のバスに乗り込む姿もなかなか見られるものではないだろう。そういう時代も経験しつつ、楽天の歴史を作ってきた。

 今後についてはまさに五分五分。今季、出場は16試合ながら31打数11安打。打率.355。まだまだ体は健在だ。だが、仙台に来て10年が過ぎ、家族ができ、2人の愛娘もここで大きくなった。「もし、次の場所が見つかったとしたら単身赴任になる。家族との時間を大事にしたいという気持ちも自分の中で大きいですし……」。

 引退という可能性も頭の中に当然ある。戦力外通告を受けたその夜、元同僚の鉄平(現・楽天ジュニアコーチ)から言われた。「今辞めるのはもったいない」。同い年で、今年、現役を引退した親友の一言。「鉄平がそう言うとは思わなかった。ほかにも、まだやれると言ってくれる人もいます。だから悩みますよね。みんなが『辞めたら?』って言ってくれたら、スパッと辞められるのに」。冗談交じりに胸中を明かした。

 11月半ばに行われるトライアウト。それまでには、結論を出すことになるだろう。「しっかり考えて、悔いのない答えを出します」。ひとまず、生え抜きとして支えてきた楽天の選手生活は終わった。次のステージへ、悩める日々は、もう少し続きそうだ。

(記事提供:パ・リーグ インサイト

【了】

「パ・リーグ インサイト」編集部

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