震災を機に始めて8年、今年はプロも輩出 元本塁打王が続ける支援のカタチ

「山﨑さんは震災で傷ついた多くの少年たちを励ましてくれた」

 ユーモアを交えながらも、「(肉は)牛が好きです。でも、野菜もいっぱい食べないといけないよ。野菜が嫌いな人は野球選手にはなれません」など、丁寧に答えた山﨑氏。「東北は寒いので冬になると外で練習することはなかなかできないと思います。でも、毎日、続けられる練習を1つ見つけてください。ランニングをするとかバットスイングをするとか、何かしら毎日やることが大切です。1日目に100回やった。疲れたから2日目はやらなかった。3日目は調子がいいから200回やった。これではダメ。毎日、30回でも50回でもいいから、コツコツやり続けてください。毎日、続けることが成長につながります」と継続することの大切さも話した。

 東日本大震災があった11年シーズンには、10年の「山﨑武司杯」で優勝した東松島市の野蒜小野球スポーツ少年団を楽天のホームゲームに招待し、グラウンドで激励した山﨑氏。大会実行委員長の木村光男さんは「東日本大震災で家族が津波に流されるなどした子は山﨑さんの言葉でまた野球を始めて、選抜大会で始球式もしました。山﨑さんは震災で傷ついた多くの少年たちを励ましてくれています。子どもたちにとって幸せなこと」と感謝する。

 震災をきっかけに始まった大会は宮城の少年野球のレベルアップと野球を通じた“絆”がテーマだ。今年も宮城の野球少年と絆を深めた山﨑氏。「今年は体が大きい選手が多いなと思いました。いっぱい食べて、鍛えて、もっともっと大きくなって、この中からプロ野球選手が出てくることを期待しています。楽天イーグルスに入って、楽天イーグルスを強くしてほしいなと思います」とメッセージを送り、球場を後にした。

【了】

高橋昌江●文 text by Masae Takahashi

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY